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エルピーダメモリ、立体半導体の設備導入 長薄型ノートパソコン、スマートフォン向け量産開始

2011-08-30 | 半導体業界



 エルビーダメモリは、DRAMチップを縦に積み重ねて効率的に電気を体半導体の製造設備を導入する。このほど技術開発が完了し、実用化に向けて主力の広島工場(東広島市)などで装置の設置を始める。

 立体半導体は従来の平面構造より低消費電力、高速データ転送できる利点があり、超薄型ノートパソコン、スマートフォンへの搭載を期待する。

 広島工場と、半導体製品を組み立て生産する子会社の秋田エルピーダメモリの2工場で、シリコン貫通電極(TSV)に対応した製造設備を導入する。


●11年度中に量産へ

 TSVは半導体を複数枚重ね合わせて電極を貫通させ、ひとつの半導体のように電気接続する技術。半導体表裏を貫く約千個の穴を開け、穴に金属を埋めて電極を形成する。

 広島工場では穴を開けたり、金属を埋めたりする装置、秋田では半導体を形成したウエハーを薄く研磨する装置を新設する。従来は半導体を電気接続するには、チップ上の電極を金属ワイヤで配線していた。

 TSVを使えばワイヤが必要なく、復数枚の半導体に電極を介して素早く電気を供給できる。8月に実施した増資により、約700億円の資金を調達した。

 このうち約150億円をTSVの設備導入や次世代半導体の技術開発に充てる計画。2012年度末が計画の完了予定時期だが、顧客動向に合わせて、早ければ11年度中にも立体半導体の量産に踏み切る。

 足元で低迷するDRAM市況の回復度合いも、量産時期の見極め材料にする。同社は6月末にTSVを使って2ギガビットのDRAMを4枚積層する技術開発に成功した。

 半導体を横に並べて金属配線するより消費電力を動作時に約20%、待機時に約50%減らせる。

 配線距離が短くなるため、情報データも高速で伝えられるほか、従来より薄く加工するため簿型、小型化も可能になる。平面構造より低消費電力、高速処理の半導体を供給できる。

 11年秋モデルから本格展開が始まる「ウルトラブック」と呼ばれる超薄型の高性能ノートパソコンや、高機能スマートフォンヘの採用を見込む。

 DRAMのみを積層する立体半導体は単独で量産準備を進めるが、DRAMとシステムLSIやMPUなど異なる半導体の積層品は、台湾の聯華電子(UMC)、組み立て生産大手の力成科技の台湾2社と共同開発を進めている。





【記事引用】 「日経産業新聞/2011年8月30日(火)/4面」


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