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電子部品受注、回復続く リーマン・ショック前の9割水準、二番底回避の見方も

2010-01-30 | 電子部品業界



 TDK、京セラなど電子部品大手5社の受注額が2009年10~12月に計約7600億円と、7~9月を5%上回った。

 デジタル機器の需要拡大が続いているためで、京セラと日本電産は28日、ともに10年3月期の業績予想を上方修正した。受注水準は、リーマン・ショック前の9割程度まで回復。

 足元も堅調で、業界では2番底を回避できるとの見方が広がっている。


●1~3月も好調続く

 5社は、このほか村田製作所とアルプス電気。京セラの10~12月期の部品受注額は、1500億円強と7~9月期を10%近く上回った。デジタルカメラや携帯電話向けに半導体部品が好調。

 TDKの受注額は、2138億円だった7~9月期を5%程度上回ったもよう。

 「ネットブック」と呼ばれる低価格パソコンや外付けハードディスク駆動装置(HDD)の需要が拡大し、HDD用磁気ヘッドが1割程度伸びた。

 日本電産では10~12月のHDD用精密小型モーターの出荷台数が1億3100万台と7~9月より6%増加。需要増を受け28日、モーターの新工場をベトナムに建設するなどの増産投資を相次ぎ発表した。

 村田製作所の受注は1350億円前後で7~9月期比6%減ったが、年末としては落ち込みは小幅とみている。

 好調を受け、日電産の10年3月期の営業利益は前期比29%増の670億円となる見通し。従来予想を90億円上方修正した。HDD用を中心に主力の精密小型モーターが伸びる。

 HDD関連は「業界全体で在庫水準が低く、例年は調整期に入る1~3月も好調が続く」(永守重信社長)とみている。10~12月期の営業利益は4半期ベースで過去最高。7~9月期比でも30%増となった。

 京セラでは中国向けに携帯電話やパソコンなどに使う電子部品需要とともに、国内向けの太陽電池が急拡大している。

 10年3月期の営業利益見通しは43%増の620億円と従来予想から180億円上方修正した。10~12月期の営業利益は前年同期比5.8倍となった。


●中国向け需要拡大

 電子部品各社の受注水準は2008年7~9月期に軒並み過去最高となった後、リーマン・ショックを受けて5~6割の水準に急落した。ただ、昨春に回復し始めてからは勢いを持続している。

 ここにきての原動力は中国と、電子機器の多様化。年末商戦に向けた出荷がピークを過ぎる年末から1~3月は通常、受注が落ち込む端境期。

 だが中国市場が成長、2月半ばの春節(旧正月)向けの出荷規模が大きくなっており、受注を下支えしている。

 京セラの青木昭一取締役は、「中国からの引き合いは引き続き強く、ニ番底として懸念されていた急激な落ち込みはなさそう」と話す。

 また、需要をけん引してきた従来型のパソコンと携帯電話だけでなくネットブック、スマートフォン、電子書籍など新しい機器が相次ぎ登場していることも大きい。

 顧客企業が部品在庫を減らしていたため、一部では部品不足に陥っている。日本電産は1~3月期、9~2月期並みのモーター出荷台数を予想している。

 TDKの上釜健宏社長は「産業機械や自動車向けの引き合いも増えており、(例年のような)在庫調整はないかもしれない」と指摘。落ち込みは小幅に留まるとの見方を示している。





【記事引用】「日本経済新聞/2010年1月29日(金)/11面


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