コネクタメーカー各社の韓国生産体制増強の動きが活発化している。
各社は、成長著しい韓国系完成品メーカーへの供給体制強化や、海外における高付加価値品の量産拠点としての体制構築などを目的に韓国生産体制の強化・拡充を推進し、グローバル供給体制の最適化や競争力強化への取り組みを加速させる。
●生産体制の分散化
日本モレックスは、グローバルマイクロプロダクツディビジョン(MPD)の事業強化に向け、韓国・安山市で新工場建設に着工した。12年10月の完成を予定する。
安山市新工場は、現地顧客への供給体制強化を目的としたもので、コネクタ一貫生産工場として整備する。建屋は4階建て。新工場完成後は、現工場と比較してフロア面積が4割以上拡張される見込みで、生産能力も4割以上の増強を見込む。
米モレックスグループの、低背・狭ピッチコネクタなどを扱うデイビジヨンであるMPDは、日本にヘッドクォーターが置かれ、日本モレックスは、マイクロプロダクツの開発、製造、販売、マーケティングなどを統括している。
ヒロセ電機は、現在約40%の海外生産比率を、11年末までに45%に引き上げる方針。
3月11日に発生した東日本大震災に伴うエレクトロニクス業界のサプライチェーンの混乱などを背景に、海外ユーザーなどから、海外工場を含めた生産体制の分散化への要求が強まっていることに対応するもの。
既に、海外生産シフト強化への取り組みに着手している。「以前から海外生産強化の戦略を描けてきたが、今回の震災がそれを後押しした」と串田栄副社長は話す。
海外生産シフトに当たっては、当面は10年度に連結子会社化した韓国のヒロセコリアを中核拠点に位置付け、量産品の自動化生産技術などのヒロセコリアヘの移管を推進する。
その後、中国やマレーシア、インドネシアなどのアジア地区生産子会社への移管を進める。
日本航空電子工業は、グローバルでのコネクタ事業拡大のため、10年度下期から、韓国でのコネクタ委託生産を開始している。
【記事引用】 「電波新聞/2011年8月24日(水)/1面」