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エプソントヨコム、水晶部品2割増産 高機能携帯用の需要取り込む

2010-04-13 | 電子部品業界



 セイコーエプソン子会社のエプソントヨコムは、水晶部品を増産する。2010年秋までに約100億円を投じて国内外の工場を増強し、生産量を2割増やす。

 水晶部品は携帯電話の電波の送受信などに使い、スマートフォンの普及で需要が急拡大している。

 エプソントヨコムが世界のシェア2割を握る最大手だが、中国や台湾メーカーの攻勢も激しく、大型投資で伸びる需要の取り込みを狙う。


●拡大基調で推移

 エプソントヨコムは国内で人工水晶を水晶チップに加工し、海外で部品に組み立てている。

 10年度上期中に前工程を担う宮崎事業所(宮崎市)と秋田エプソン(秋田県湯沢市)に新たな加工設備を導入。後工程を担当する海外でもマレーシアとタイ、中国の工場に部品の組み立てラインを新設する。

 約100億円の投資額の配分は明らかにしていない。水晶部品の需要はリーマン・ショックで一時半減したが、09年後半にはショック前の水準に戻り、その後も拡大基調で推移している。

 スマートフォンなど高機能な携帯端末には、1台に複数個の水晶部品が搭載される。

 米アップルの多機能携帯端末「iPad」の発売などで端末の普及が進めば、部品の需要増が加速する見通し。ただ、中国や台湾メーカーとの競争激化で製品の単価が下落。

 日本水晶デバイス工業会によると、10年2月の国内受注量は前年同月比1.7倍の8億5620万個に増えたが、平均単価が12%低下し、金額ベースでは50%増の173億4200万円にとどまった。

 こうしたなか、エプソントヨコムは高機能な携帯端末に搭載する小型の水晶部品を中心に生産能力を増強する考え。部品の面積が通常の3分の1から半分の小型タイプなどの生産を効率化し、成長分野でコスト競争力を強化する。

 水晶部品を使って機器の動きを検知するセンサーなど、価格競争の影響を受けにくい高機能品の開発にも力を入れる。


●単価下落に繋がる可能性も

 エプソントヨコムの09年3月期の売上高は前の期比19.1%減の782億円で、営業損益は28億円の赤字(前年は80億円の黒字)。

 10年3月期も売上高は横ばいだった模様だが、積極投資に打って出て11年3月期の業績回復を目指す。

 日本勢では世界2位の日本電波工業が約10億円を投じて1割程度の増産を予定。京セラキンセキも生産能力を1割程度引き上げる計画を打ち出している。

 いずれも小型タイプや高機能品が強化の主な対象になっており、各社の供給増が高付加価値品の単価下落につながる可能性もある。






【記事引用】「日本経済新聞/2010年4月13日(火)/3面


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