goo blog サービス終了のお知らせ 

21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

この世の由来-世記経   ~三つの災い  火災 その2 「五つの太陽」

2012-06-17 19:45:31 | 経典
仏陀は比丘たちに教え諭す。 

「知るがよい。
 すべては無常なのだ。移ろいやすく、やがて朽ちて壊れてゆく。
 頼りとすべきものなど何もない。
 この世のものはどれも執着すべきでないと知って、解脱の道を求めるべきなのだ」

「その後、長い長い間〈大黒風〉が吹き荒れる。
〈大黒風〉は海に吹きつけ、
海の水を吹き上げて深さ84000ヨージャナ(約58万8千km)の海を真っ二つに裂いてしまう。
そして風は
海の底から太陽を連れて来る。

新しい太陽は
須弥山の中腹、4200ヨージャナ(約2万9400km)の高さに軌道をえて、照り輝く。
こうして、
太陽が二つになることで小さな川はすべて干上がってしまう」


仏陀は比丘たちに語り続ける。

「知るがよい。
 すべては無常なのだ。変わりやすく、やがて朽ち果て滅んでゆく。

長い長い間〈大黒風〉が吹き、
海を二つに割り、海の底から太陽を連れて来る。

太陽が三つになることで、
名だたる大河も細りゆき、枯れてしまう。

同様にして
太陽が四つになり、
高山より大地を潤していた清らかな泉も枯れ果て
太陽が五つになると
大海の水さえ蒸発し、減ってゆく。
100ヨージャナ(約700km)から700ヨージャナ(約4900km)も水位が下がってしまう。

これをもって知るがよい。
すべては無常なのだ。変わりやすく、やがて朽ち果ててしまうもの。
不確かなものに依らず、確かな悟りの道を求めるべきなのだ。

五つの太陽が照り続けて、
海の水はいよいよ少なくなってゆく。
残りの水位、7ヨージャナ(約49km)、6ヨージャナ(約42km)、5ヨージャナ(約35km)・・・
残りあと1ヨージャナ(約7km)。

すべては無常なのだ。

水位はどんどん下がる。
ターラ樹の高さ(高いもので約30m)の7倍(約210m)までになる。やがてターラ樹6本分(約180m)、5本分(約150m)・・・
ターラ樹1本分(約30m)までの水位となる。

すべては無常なのだ。

その後も海はどんどん浅くなる。
人の背丈(約1.7mとする)の7倍(約11.9m)の深さ、6人分(約10.2m)、5人分(約8.5m)・・・
1人分(約1.7m)の背丈の浅さとなる。

やがて腰までの浅さ
膝まで
くるぶしまでの浅さとなる。


比丘たちよ、知るがよい。すべては無常なのだ。


コメントを投稿