現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小沢正「はこの中には」目をさませトラゴロウ所収

2018-09-21 08:59:46 | 作品論
 いつものようにおなかをすかせていたトラゴロウは、通りかかったりょうしをつかまえて食べようとします。
 でも、りょうしが鍵を差し出して、遠くの松の木の下に埋まっている箱をこの鍵であけると、トラゴロウの好きな物が入っていると言うので助けてやります。
 なまけもののトラゴロウは、自分で行くのが面倒なので、通りかかった動物を片っ端からつかまえて、代わりに箱の中身を取りに行かせます。
 でも、うさぎが行くと箱の中にはにんじんが、さるが行くとりんごが、くまが行くと蜂蜜の入ったツボが出てきます。
 どうやら箱を開けた者の好きな物が入っているらしいと、ようやく気づいたトラゴロウが最後に自分で行くと、箱の中からは鉄砲を構えたりょうしが入っていて、トラゴロウ目がけて撃ちだします。
 でも、そんな鉄砲の弾なんか、みんなきばで跳ね返して、今度こそトラゴロウはりょうしを飲み込んでしまい、ついでに鉄砲もばりばりと食べてしまいます。
 このお話でも、「自分の欲しいもののためには、自分でやろう」という教訓(?)もありますが、それよりも物語の面白さやトラゴロウの魅力の方が前面に出ています。
 子ども読者の好きな繰り返しの手法を多用し、ユーモア(調子にのったトラゴロウが自分よりも大きなくまにまで命令し、つられたくまもそれにすなおに従います。りょうしはこんなめんどうなことをせずに、最初の時にさっさと食われてしまえばよかったのにと、トラゴロウは思います。など)にあふれています。
 また、前のお話ですでに紹介されていたトラゴロウのきばの無敵さや、不良っぽさ(なまけものでたばこをふかしてばかりいる)は、読者の子どもたちも内心はあこがれています。

目をさませトラゴロウ (新・名作の愛蔵版)
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