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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

手塚治虫「火の鳥 未来編」

2019-01-07 08:55:13 | コミックス
 1967年から1968年にかけて発表された、西暦3404年の地球を舞台にしたSF篇です。
 核戦争による人類の破滅と、新しい生命の再生の繰り返しを、壮大なスケールで描いています。
 すべての生命はやがては宇宙生命になり、火の鳥はその集合体であるという発想は、当時としては(今でもそうかもしれませんが)画期的な物でした。
 また、地球もまた一つの生命体であるというラブロックのガイア理論も、1960年代に発表されたものであり、それをいち早く作品に取り込んだ作者の先進性は驚くべきものがあります。
 しかも、堅苦しいお話にするのではなく、この作品でもアクション、ユーモア、男女の恋愛(一人はウーピーという異星から連れてこられたなんにでも変身できる生物で、ここではタマミという美しい女性に変身していて、主人公の男性と恋愛関係にありました)なども満載で、エンターテインメントとして成立させているのですから、驚くばかりです。
 特に、タマミが主人公になんでもリアルに見せてくれる、ムーピー・ゲームという催眠ゲームは、VR(仮想現実)を驚くほどリアルに先取りしています。
 「プレードランナー2049(その記事を参照してください)」に登場する主人公のレプリカント(人造人間)のAIを持ったVRの恋人と同様、タマミは容姿も性格もすごく魅力的で、現実の女性よりもこうした二次元や三次元の仮想現実の恋人を持ちたいと思う若い男性は、50年前も今も全く変わらないのでしょう。
 それにしても、こうした過去のSF作品を見ると、現実の技術進歩は明らかに違う方向へ進んでいることがわかって、非常に興味深いです。
 例によって、空飛ぶ自動車や宇宙移住は当たり前のように実現しているのですが、コンピューターは超大型ですし、テレビ電話も大型スクリーンです。
 あらためて、半導体とインターネットはすごい発明だなと思い、それらの進歩に間接的ながら関われた自分は、超ラッキーだったんだなと思わされます。
 そして、それらの一番の成果であるパソコンとスマホを実用化(発明とか開発とかいうと、厳密にはもう少しややこしい話になります)したスティーブ・ジョブスは、やっぱり偉大だったんだなと思い知らされます。

火の鳥 2・未来編
クリエーター情報なし
朝日新聞出版



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