現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

辻原登「チパシリ」父、断章所収

2018-10-04 09:01:35 | 参考文献
 チパシリとは、アイヌ語で「われらが見つけた土地」という意味で、網走の語源になっています。
 この小説は、戦前、戦中の北日本を舞台に、盛岡刑務所、青森刑務所、そして厳重な網走刑務所、最後には札幌刑務所を次々と脱獄した、脱獄王椿早苗が絞首刑になるまでを描いています。
 椿は体中の関節を外せて、どんな狭い所からも脱出してしまいます。
 そんな椿が、最後には民家の便所から脱出できず雪隠詰めにあって捕まり、絞首刑になったのは皮肉なラストです。
 辻原の関心のある犯罪や刑務所に関する知識が、作品のリアリティを支えています。
 こういった博覧強記なおじさん(辻原のこと)からお話を聞くような物語は、児童文学の世界でももっとあってもいいかもしれません。

父、断章
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