美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

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「江戸美粧」研究の第一人者・村田孝子先生を訪ねて ① ・・・「着物でセレモニー」序章

2016年08月31日 | ウェディング

Presented by  グレープス.com  and スズキ美容室.com

and スズキ美容室訪問サービス.com (長野県飯田市)

 

スズキ美容室主催「ウェディング・ファッションショー」 ※1 より

◆江戸時代・中期以降の白無垢花嫁のイメージ。(現代まで続く) 髪型は日本髪。

 

スズキ美容室主催「ウェディング・ファッションショー」より

◆江戸時代・中期以前の白無垢花嫁のイメージ。(主に室町時代~江戸初期) 髪型は、垂髪。

 

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 先日、何気なくテレビを眺めていたら、今、観光地としてたいへんな人気で、多くの女性のあこがれの旅行先でもある「100万石の城下町・金沢」の伝統的な結婚式、「お嫁入り」の様子がリポートされていました。

武家の町としての伝統を受け継ぐ「あわせ水」「杯割り」 ※2 といった儀式が、由緒ある歴史的街並みの中で行われている風景が、大変魅力的でした。

お嫁さんの衣裳は、黒の引き振袖。そして、この「あわせ水」「杯割り」の儀式に立ち会う、付添いの親族と、仲人さんは、黒留袖。

大事な結婚式ですから、正装の着物スタイルで、ぬかりありません。

 

 ところが、この女性の3ショットで、ちょっと気になることがありました。

それは、この黒装束の三人の女性、花嫁さんも、ご親族も、仲人さんも、皆、同じ(ような)髪型だった。ってことなんです。

それは、髪を束ねたまげ(シニヨン)の向きが下向きの、小さなまとめ髪。とでも言えばよいのでしょうか…

親族と、仲人さんは、これでよいのでしょうが、

花嫁さんの髪型が、これでは、ちょっと簡略化し過ぎではないですか?て,感じのものでした。

それに、昔だったら、その髪型は、「年増のお姉さま」と判断されても仕方がない、表現に見えていました。

 

他人さまの事なので、とやかく言う筋のものでもない…と思いながらも、

そんなところで引っかかってしまい、

実は、ちょっとどころじゃなく、大変、気になってしまったのは、職業がら、でしょうか。

 

「時代の流れの中で、画一的な花嫁の髪型の時代は終わった」? とはいえ・・・・

さらに、

美容室も、お客様の個性を生かすべく、激しい競争を展開するの中で、私たちの美容室でも、常に「型破り」を目指す意気込みで、美容の創作に臨んではいますが・・・・・・

 

せっかく、高価な着物を、花嫁衣裳としてあつえて、人生最大のセレモニー(儀式)に臨む、特別な場面に用意する髪型については、特別です。

「カジュアル」はありえません。

 

多かれ少なかれ、歴史だの格式だのに配慮する(あるいは意志をもって否定する)姿勢が、表現されていないことには、物足りないし、何よりもったいない。

と同時に、それを見る側の人々は、失望せずにはいられません。(花嫁行列とか、お嫁入りの儀式は、当然、外部の人へのお披露目の意味、要素を多く含んでいる行為です。)

 

 

今回のテレビ番組のケースの、舞台裏の事情はわかりませんが、

こんな完璧な「お嫁入り」のシチュエーションと演出(和装のお嫁さんの舞台としては、最高の設定)のなかで、

唯一、美容に関しての専門性の高い知識と、スキルがスポッと、抜け落ちていることによる違和感が、なんとも言えないモヤモヤが残った原因だったのか、と気がつきました。

 

そのことの理由を、「お嫁さんづくり」の主体が、美容師の手から、ウエディング・プランナーさん、結婚式場さんなどに移った、いまの時代の象徴的なシーンのように結論づけてしまえば、答えは簡単です。

が、そう考えてしまうのも、職業柄でしょうか。

いずれにしても、このように、歯がゆい思いをされている美容師さんは、全国各地にいらっしゃるものと思います。

 

わたくしたちも、そんな美容室関係者の端くれとして、これからの将来、着物で結婚式に臨まれるお嫁さんにご提案できるヘアスタイル、あるいはコーディネイトとはなになのか、という難しいテーマのの答えを探すべく、今回、企画したのが、

このブログの新連載、「着物で セレモニー」 です。

 

この冬の連載開始を目指して、現在企画・制作の真っ最中。

久々の、オリジナルのビジュアル制作での連載です。どうぞ、おたのしみに。

 

さて、そんな企画が進行中のさなか、

日本の伝統的な髪型、化粧の研究の第一人者である、ポーラ文化研究所の村田孝子先生の一般のお客様向けのセミナーが、開催されているということから、ここぞとばかり、お邪魔して、日本髪の歴史的な変遷から、そのトレンドの担い手などについて、広く勉強させていただいてきました。

 

※注   この講演は、すでに終了しています。

 

今年の6月に、第一回が開催された、湘南の藤沢駅前の「朝日カルチャーセンター」さんでのこの講義。

当日は、ぐずついた天気で、せっかくの湘南、国道134号線沿いの景色もこのとおり。

しかし、講演には着物姿のミセス層も多くみられ、この地域のみなさんの和装への関心の高さ、向学心の高さを強く感じることができました。

 

美容組合(全美連)のプロの美容師さんが対象のアカデミック・セミナーでも講師を務められる村田孝子先生。

日本髪と、その歴史に関して、わからないことは先生に聞け・・・とまで言われるほどのエキスパートです。

 

いままでに、業界関係の酒席では、直接お話をさせていただく機会もあったのですが。

本題の、日本の美粧についての歴史のお話しを村田先生から、直接おうかがいできる機会は、これが初めてでした。

当店の新連載企画の「仕込み」にもなる、貴重なお話(ネタ)もゲットさせていただき、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。

 

そして、来る9月3日の土曜日は、

朝日カルチャーセンター・湘南で、村田先生の第2回目の講演会が開催されます。

 

 

◆江戸時代、髪型や化粧で、身分、階級、未婚、既婚、職業などが、見分けられた、という興味深い内容です。

「さすがに、藤沢までは、行けないわ。」という方には、このテーマの電子書籍も発売されています。

 

つづく。

 

※1 スズキ美容室主催「ウェディングファッションショーの記録 も併せてご覧ください。

※2 「あわせ水」と「杯割り」

北陸地方の結婚式で行われている伝統的なセレモニー。お嫁さんが「お嫁入り」のとき、嫁ぎ先のお家で、持ってきた杯に嫁ぎ先のお家の水を注ぎ、それを飲み干して、杯を割る、というのが、一般的な流れ。婚家の一員となり、実家へは帰りませんという意思表示の儀式。と、言われています。

「仏壇参り」、「花嫁暖簾」などのこれも由緒ある「伝統的嫁入りの儀式」との組み合わせもあり、流儀には、さまざまなバリエーションがあるようです。

金沢は、かつては、加賀100万石の城下町。古くからのお嫁入りの儀式の数々は、江戸時代の経済的な隆盛と、当時の封建的な武家文化が色濃く映し出された伝統、という解説が、もっとも解りやすいものでした。

 



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