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チョコレート博物館




ブルージュの街にひっそりと「チョコレート博物館」はある。


今日、娘が学校から見学に行ったそうだ。

感想は一言「つまらなかったです」。
ええっ?試食もできると聞いているのに、なぜ...?


ああそうか、おそらく彼女はウィリー・ウォンカのチョコレートファクトリーのようなものを想像していたのだ(その通り、と告白してくれた)。


将来、古生物学者として活躍する傍ら、ブルージュ出身の名士として、本物のチョコレートファクトリーを経営して子どもたちの(そしてあなた自身の)夢を実現してくれたまえ。
ブルージュのゆるゆるの観光業にも喝が入ると思う。
たぶん美談として映画化もされるだろう(笑)。



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自転車









自転車は最もポピュラーな交通手段。
わたしは自転車に乗らない(単にいつもスカートでハイヒールだから)ので、周囲からは「乗れない」からなのでは、と疑惑の目で見られている。

みなが使っている物を使わないからといって、それがたとえどんなに便利な物であるからといって、完璧な造形であるからといって(@ロートレアモン)

ええやんか別に。



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insensatez




復活祭休みが始まったばかりの土曜日だったから、もう数週間前のことだ。


旅行の支度も早々に終え、春らしい晴天に誘われるまま街に出た。
特に買い物するものもなく、誰かと会う予定があるでもなく、お腹はすいてもいず、だからあてもなく。

何も予定のない休日は、たいてい街をぶらぶらしながらカフェに立ち寄るのが習慣で、いつものようにそうして楽しく過ごすつもりだった。


ところが一件目のテラス席に座っていると何か落ち着かない。
何かするべきことがあるのに忘れているような気がするのだ。しかし忘れていることなど何もない。
二件目で座っていても増々落ち着かない。「こんなことよりもっとせなあかんことがあるやん、何やったっけ?」とか「考えなあかんことがあるやん、何やったっけ?」「どっか他に行かなあかんとこがあるやん、どこやったっけ?」などという気持ちが浮かんでくるから、夫の話も上の空で聞いていた。
おまけに乾燥しているからか、光があまりにも強いせいか、埃っぽいからか分からないが、風景がいやに漂白したように見えて、今ここに座っていること自体が間違っているような気がした。

ブルージュの、始まりも終わりもない運河のように繰り返される無神経な毎日。

そんなことだから大好物のプラムのタルトも、紅茶も、ワインも、毎朝サプリを飲み下す時のように口に運んで飲み込んだだけだった。


結局忘れ物を思いつかないまま帰宅したら、何通かメールが入っていて、重要度は低いものの、急な決断と返事をしなければならなかった。

そこでなぜだか泣きたいような気持ちになった。

機嫌が悪くなったわたしがいつもするように、風呂場のロイドルームに座って、暗くなって行く窓の外(そこから見えるのはレンガの壁だけなのだが)を眺めてずっと座っていた。


.....


こういうことは誰にでもあることだと思う。
少なくともわたしがこれまで読んだ小説には同じような精神状態について、わたしの駄文とは比較の方法もないくらい上手く書かれていた(例えば森鴎外の「カズイスチカ」とか、古井由吉の「野川」とか)。
なぜそのような気持ちになることがあるのかわたしなりに考えてみたが、ここに書けば書くほど「すべる」ような感じがするから書くのは止めた。

こういうことは、自信を持って言えるが、「小説の領域」なのだと思う。


...


5/10追記
タイトルの「insentatez」について友人から聞かれた。How Insensitive ...ボサノバのクラシックです。
さまざまなバージョンがあるが、わたしが一番一番好きなのは、 Antonio Carlos Jobim / compact jazz best of bossanovaに入っているもの。


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5月1日、すずらん




一昨日、代車として軽自動車が来た。


ブルージュの石畳を走る時、車の軽さがひしひしと伝わってくるので、小心者としては高速を運転する勇気が起こらず、昨日は電車でブラッセルへ行った。

結果としては3連休前の渋滞に巻き込まれることもなく、よかったかもしれない。
それにブルージュの駅で5月1日の花、すずらんを配っているのにも出くわしたり。
とても愛らしい女性と話して、心が洗われるようだったり。

花も、かわいらしい人も、わたしの世界のトーンを一瞬にして変えることができるのである。


今日も晴れ上がっているし、今年のブルージュはよい春である。


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