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マルサ・アルゲリッチ




アルゲリッチは青い薔薇のようなひとだ。
永遠の憧れだ。

昨夜はバレンボイム・プロジェトのうちの一夜で、アルゲリッチのピアノ演奏を鑑賞した。於ロンドン・ロイヤルフェスティバルホール。

スタッツカペル・ベルリンのオーケストラが、特に後半のリヒャルト・ストラウスが、この世のものとは思えないほど美しかったのだが、わたしには音楽に関してはとても書けない(オーケストラ部員である娘も金管楽器の美しさに驚愕していた)...ましてやアルゲリッチの音楽に関してはとても書けないので、彼女のごく周辺のことを買いてみたい。

アンコールがアルゲリッチとバレンボイムの連弾で、2人が並んでリラックスして(<いるように見えた)、掛け合いを楽しみながら演奏しているのを見ていると、わたしも早く上手いこと老人になりたいとつくづく思ったのだ。並んで座る、偉大にして可憐な2人の音楽家...


昨今は死ぬまで若くありつづけることを望み望まれる時代だ。
しかし2人の姿を見ていると、老成することこその豊かさや喜び、人生の美しさ儚さを感じ、わたしも成熟を目指して人生修行をし、名実共に早く「媼(おうな)」と呼ばれるようになりたいわなあと思わされた。無為徒食の媼になるとしても、だ。

わたしがしょっちゅう見ているバレエの世界で中心なのは30代のダンサー達だ。アルゲリッチやバレンボイムのような70代のダンサーはいない。
シルヴィ・ギエムも50を目前に今年引退だし...バレエは若くして成熟することを要請される芸術なのだ。

媼になりたい、成熟したい、そして枯れた目で世間を眺めてみたい、と思わせてくれるロールモデルは現代では多くはない。

有り難い、有り難い。
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