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rock fort 最終章


わたしの好物、手長海老、海藻バター。
絶妙に半生。


2001年にレストラン・ロックフォール Rock Fortが開店するまで、ブルージュにはこういうタイプの飲食店はなかった...

それまでブルージュでは、コースで食べる店か、飲むだけのバア(食べ物は角切りにしたチーズやナッツなどのみ)、という棲み分けが主流だった。

飲むのも食べるのも同価、というスタイルは、最近は「タパス」スタイルという触れ込みで、ブルージュのどこにでもある様式になって久しいが、2001年のブルージュでは新しかった。
日本人には新しくもなんともないけれど。

レストランにバアのエリアがあるのも特徴で、このバアはのちにBar Salonとして店内で独立した。


ステーキタルタルは英国ではなかなか食べられないので(英国人は生から半生の肉魚に抵抗をお持ちである)


男性二人のオーナーチームがキッチンとホールを取り仕切り、オープンキッチンで、おしゃれ。もちろん抜群に美味しい。
地元民に絶大な人気を誇り、わたしたち家族も開店当時から通った店だった。

この成功したビジネスを今週閉じるという。
22年の歴史を。
店を買い取りたい人(takeover。業務丸ごと買取り。これはブルージュでは個人商店が多いからかしょっちゅう起こる)があるとのことで。
そのお知らせがメールで来たのが8月終わりで、すぐに予約を二回入れた。


内装は所々変わっているが、バアのタイルの壁は変わらず。今回来れなかった娘に写真を送ったら、「タイル!」と


娘を放課後、音楽学校へ送り、わたしたち夫婦は二人揃ってここへ来て、娘のレッスンが終わるのを待って迎えに行き、三人揃ってからそれでは、とディナーを注文したものだった。
大海老の天ぷらとダム・ブランシュ(ヴァニラアイスクリームにチョコレートソースと生クリームをかけて食べるデザート)が大好物だった娘も大人になり、連れてこれるものなら連れてきたかった...

夫と二人、1998年にわたしがブルージュに住むようになってから、よく通った馴染みの店のうち、消えてしまったあの店、この店を数えてしみじみとした。
まだ残っている店を数える方が早い...

「またレストランビジネスを始めるなら、ぜひ連絡して」とオーナーたちに言い残して店を出た。

彼はウインクしていた。

ブルージュの夕食どき
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