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本当に本当に楽しい最高の夜だった!


サイモン・ラットル卿/Simon Rattle(現代英国が、いや世界が誇るマエストロ)率いるロンドン・シンフォニー・オーケストラが、ピアノにクリスティアン・ツィマーマン/Krystian Zimermanを迎え、バーンスタインの「不安の時代」をやるというので1年前から楽しみにしていたのだ。

娘にとっては特に、サイモン・ラットルは、幼児の頃から祖父に繰り返しその偉大さを吹き込まれ、映像をいやというほど見せられたマエストロであり、クリスティアン・ツィマーマンはショパン弾きとして彼女が私淑している取り合わせ。


わたしの印象では、ものすごくサラッサラなバーンスタインだった。

前回聞いたのはロイヤル・バレエの「不安の時代」の時で、バーンスタインの暗鬱とした雰囲気がいっぱいだったが、昨夜のサラサラした美しさ、それが意外にも本当にすばらしかった。

わたしのような素人が言うのも恥ずかしいが、ロンドン・シンフォニー・オーケストラのミュージシャン一人一人は独立していながら、いや、独立しているからこそだろうか、すばらしいバランス。バランスが取れているというと「退屈?」という印象を受けることがあるが、当然そんなところは微塵もなく、ひとつの「時代」という生き物が息をしているような感じだった。

そこに黄金のタッチのツィマーマンが入る。すべての音に後光がさしているような演奏。


おかしかったのは最初のピアニッシモで、観客席から咳込みが(冬は多い)起こり、みながちょっとイラッとしてきたところにツィマーマン自身が咳き込み始め(これは演奏中ずっと続いた)たこと。「不安の時代」の演出か?! みたいな(笑)。

また、まるで指揮者が2人いるようなオーケストラだった。ツィマーマンが手を弾き振りのようにしたり、唇に手を当てて静かに弾くようにオーケストラにサインを出したり。

それをまとめる優等生サイモン・ラットルはすばらしい! 万能!

最初から最後まで全体と細部を心から楽しんだ。


後半はバーンスタインの「ワンダフル・タウン-テキサス」。オペレッタで普通は興味のないジャンル、正直、「不安の時代」のおまけのようなつもりだった(実際、前半が終わって帰った人は少なくなかった)のだが、これがもう本当に本当に本当に楽しかったの! 「男と別れる100の方法」、最高!

最後はアンコールで「コンガ」が演奏され、コーラスが観客を舞台上に引き上げるわ、バイオリニストは立ち上がって踊るわ、レイをかけたラットル卿はノリノリだわで、一足先にクリスマス・プレゼントをもらった気分。

拍手鳴りやまず...
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