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英国桃で ベリーニ風ムース




夏を惜しみ、英国産の桃でケーキを作った。

British Peach、またはEnglish Peach、黄桃の一種である。

英国産の桃は、気候変動で収穫が増えているという話を新聞で読んだのはもう数年前のことだ...


ビスキュイ、桃のムース、ホワイト・チョコレート、シャンパーニュとレモンのジュレ。

イメージはシャンパーニュのカクテル「ベリーニ」。

ヴェネツィアの老舗バア、Harry's Barで1940年代に生まれたこのカクテルは、白桃のピュレとシャンパーニュ(伝統的にはイタリアのプロセッコ)を組み合わせる。

薔薇のようなオレンジ・ピンクの色が、ヴェネツィア・ルネサンスのジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellini)の絵画の、聖母マリアのローブの色イメージさせることから、「ベリーニ」と名付けられたと...



Enthroned Madonna Adoring the Sleeping Christ Child  1475年
ヴェネツイア アカデミア美術館で撮影
ヴェネツィアでベッリー二の作品巡りをするのがわたしの至上の喜び


む、次は黄桃ではなく、白桃で作って作法通りフランボワーズで色付けしよう...


ハリーズ・バアは今でも大運河近くでがんばっている。
わたしは行かないが、よく前を通りかかる。


ベリーニは国際バーテンダー協会の公式カクテルで、桃のピュレをマンダリンに置きかえるプッチーニ、いちごのロッシーニ(<わたしはこれが好物)、ザクロのティントレットなど、このカクテルのヴァリエーションは多い。

いちごでロッシーニ風のムース・ケーキも試そうかな、『スタバート・マーテル』を聴きながら、まだ英国いちごが出回っているうちに。

ちなみに美食化だったロッシーニのな名を冠した料理は多いですね!

と、話が芋づる式に...伸びていく。




ふるっふるにしたく、ゼラチンを危険なほどギリギリの量で作成。
羽が生えて飛んでいってしまいそうな軽さ。

ベッリーニの天使のように。


夏の午後10時、桃と同じ色のろうそくの光の下で。


8月もあとわずか。
ヴェネツィアの優雅な滅びを思い出す。
あるいは、子供の頃の、あの、夏休みが終わりゆく感覚を思い出す。
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