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mayerling 2022 シーズン初日



Ryoichi Hirano and Natalia Osipova@MARILYN KINGWILL


ロイヤル・バレエの新シーズンのオープニングナイトは、おととい5日。
1978年ケネス・マクミラン『マイヤーリンク』Kenneth MacMillan’s Mayerlingで開幕した 。
オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子ルドルフの自殺、あの有名な心中事件を扱う。

皇太子ルドルフは平野亮一さん。
2018年に演じられたルドルフも素晴らしかったが、さらに進化しているのでは...
ロイヤル・バレエのシーズン初日にふさわしい、息が止まるような勢いと、役柄の魂を召命するようなパフォーマンスだった。


帝国末期の1889年、皇太子ルドルフは17歳の愛人マリー・ヴェッツェラと、王室の狩猟ロッジのあるマイヤーリンクで情死する。

母親は、美貌の王妃エリーザベト。
父親は皇帝フランツ・ヨーゼフ1世。

母親の愛情に飢え、父親との関係不全に悩み、ハンガリー民族独立勢力などの政治に利用され、孤独で、薬物中毒、死に取り憑かれ、暴力的でミソジニー、女性なしには生きていけない男である。

彼を取りまく5人の個性的な女性(どのダンサーも秀逸だった!!)との関係性で描かれる皇太子の最後は、観客が強い痛みを感じるほどの最高に難易度の高い振り付けで表現される。



パトロンであったエリザベス女王を哀悼し、国歌斉唱で始まった。
観客の歌声にはGod save the QueenGod save the Kingが入り混じっていた。
緞帳の下中央にあるエリザベス2世のシンボルがチャールズ3世に変わるのはいつごろなのだろう。
ちなみにチャールズ3世は、ロイヤル・バレエの大ファンだそうで、ちょくちょくお姿を見かける。



婚礼舞踏会シーンでの、固く心を自分自身からも閉ざした歪んだルドルフの雰囲気、母親の関心をひこうと子供のように振る舞い、一転して花嫁ステファニー王女Francesca Haywardを陵辱する一幕の終わり。
高級娼婦ミッツィ・キャスパーMarianela Nunez、黒いマリアネラ最高! 舞台を支配。
ラリッシュ伯爵夫人Laura Moreraは老いた元愛人。Laura Moreraは役柄理解がすばらしい!
ルドルフは自意識が高いだけで未熟な男だが、まわりの女性たちによって輪郭が際立ち、どんどん死に向かって押され流されていく。

そして17歳にして「愛ゆえに死ぬ」ことを理想的に確信的に選ぶヒロインとしてのマリー・ヴェッツェラNatalia Osipovaは、最初の寝室のシーンで堂々とした「死神」として艶かしく誘惑するように現れ、そして最後の心中シーンでは全く母親のようにルドルフをあやすのであった。

そしてルドルフは自分を撃つ前に、「死神」マリーを撃つ。



CROWN PRINCE RUDOLF/Ryoichi Hirano
BARONESS MARY VETSERA/Natalia Osipova
COUNTESS MARIE LARISCH/Laura Morera
EMPRESS ELISABETH/Itziar Mendizabal
PRINCESS STEPHANIE/Francesca Hayward
BRATFISCH/Luca Acri
MITZI CASPAR/Marianela Nuñez
EMPEROR FRANZ JOSEPH/Christopher Saunders
COLONEL 'BAY’ MIDDLETON/Gary Avis
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