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Brugge Style
les beaux dormants, 眠れる森の美女たち
今シーズンのロイヤル・バレエ『眠れる森の美女』はクリスマスから新年にかけてのロングランだ。
ロイヤル・オペラ・ハウスのメイン劇場でこのクラシック作品がかかっていると同時に、地下のリンブリー・シアターではもうひとつの『眠れる森の美女』が公演されていた。
正確には『眠れる森の美女たち』。
うむ、地下でかかっているというのが、ユングの心理学のいう意識に対する普遍的無意識のようでよい。
『眠れる森の美女たち』は、国立ライン・バレエの12人のダンサーが、100年の眠りから目覚めて成人する男女複数の「美女」と、それぞれの「王子様」を演ずる50分間のインテンシブな作品。
これがすばらしく見応えがあったのです! 行ってよかった...
まず幕が上がる前に、フランス語を話す子供達の映像が写り、彼らがお姫様と王子様から連想する言葉を連発していいく。
白い馬に乗ってる
真っ赤な口紅をつけている
お城
僕のように利口
ドレス...
そしてダンスが始まり、最初の方で話の筋がマイムを交えて簡単に語られた。
これは不必要ではないかと思ったのだが、きっちり最後に回収される。一番最後の場面で「王様とお妃様は子供に恵まれませんでした」ともう一度アナウンスされて幕が降りるのだ。
これはわたしには、この話の循環性を示していると思われた。
そして特にカラボスの表現がよかった(写真)。
カラボスは男性ダンサーで、片足にのみポワントをはき、ヤマタノオロチのように複数の頭を持った怪物かのよう、大蛇のような動きをする。才気冴え渡るという感じで、すばらしかった。
ちなみにリラの精も男性で、最も「普通の」中年らしい容姿をしたダンサーがライラック色の普通のTシャツを着て踊った。
音楽も、チャイコフスキーの曲を編曲して引き継ぎながら、なんと言えばいいだろうか、まるでアーケードゲームのように、例えばクレーンゲーム機で目当てのぬいぐるみが取れそうで取れず、スムーズに行きそうで行かず、どんどんお金を追加して...と、じりじりと進行する形でとてもよかった。
最終日の公演だからか、ロイヤル・バレエの敏腕総合ダイレクターO氏もお見えだった。きっとハウス2か所、意識下と無意識下で「眠れる森の美女(たち)」が上演されていることに満足されていただろう。
Le Ballet de l’Opéra national du Rhin
Choreography – Hélène Blackburn
Choreography assistant – Cai Glover
Music – Martin Tétreault
Lighting designers – Emilie B-Beaulieu and Hélène Blackburn
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