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ポピュリズム化する欧州の隅で





この週末、欧州は選挙のお祭り騒ぎだった。

英国在住のベルギー人である夫と娘も、ロンドンの領事館まで投票に出かけた。
ちなみにベルギーでは棄権には罰金。外国在住者はこの限りではないが、一般的に有権者の政治的関心は高い。


この選挙の結果、「ベルギーで26日実施された欧州連合(EU)欧州議会選と総選挙で、反移民を訴える極右「フラームス・ベラング(フランデレンの利益、VB)」が議席を大きく伸ばした」

「経済的地位が高いオランダ語圏フランデレンが右傾化し、フランス語圏ワロンが左傾化する結果」(ロイター5月27日の記事)だという。


選挙前からとても気になっていたことがあった。
ブルージュのあるオランダ語圏に限っては、地方は左、国としては右、という人が(選挙結果の通り)多かったことだ。

彼らは別に分裂しているのではなく、自分と距離の近い人たちには富や機会の平等な分配を希望し、国としてのレベルではその枠の外から人が入って来たりすることや、その枠の外にまで富や機会を分け合うのはごめんだと言っている点で普通のナショナリストであり、そこに矛盾はない。

経済的地位の高いオランダ語圏が右傾化したのも、フランス語圏が左傾なのも、両方ともポピュリズムつまり「自分さえよければいい」を象徴しているのだ。

豊かな地域が彼ら自身の富や機会を保守するために右傾化し、より貧しい地域が他からの分配をあてにするという意味で左傾した構図なのである。

自分さえよければいい、というのは、今の自分だけのことであり、未来の自分(豊かな今の自分が没落したり、障害を負ったり、老人になる可能性があるという視野が欠けている)や次の世代のことをあまり考えていないという点で自縛だと思うのだがどうだろう。
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