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パリを訪れた人にはそれぞれお気に入りの場所があり、わたしの場合はそのひとつが断然パレ・ロワイヤルだ。

回廊が何より好きで、ここをぐるぐるぐるぐる何周も回っていると、パリに堆積された時間を螺旋状に下っていくような気がするからだ。


ルタンスやデルボウがあり、マノロが今年中には入るようだが、何か所もテナント空きの部分あり、昔のままの看板あり、アートディーラーや、古色蒼然としたアンティークの時計だけを売る店や、メダルだけを扱う店もある。
ブランド店さえあまりにもひっそりしているので営業しているのかどうか戸惑うことすらある。


パレ・ロワイヤルがショッピングアケードになった由来のそもそもが愉快だ。
平等公フィリップが借金返済のために一部を貸店舗のショッピングアーケードにしたのだ。しかも賭博場や売春宿が入り、どんちゃん騒ぎのその様子を想像するだけでも愉快だ。不潔の極みだったろうけど。

今は道路を隔てて反対側のルーヴル宮とは比較にならないくらい、特に奥の部分は森閑としていて、緑地部分には何時間だって座っていられる。
季節の花が咲き、子供や犬連れが散歩に来、鳥が何かを探している。

完全に廃れてしまっては元も子もないが、あまりにも流行りの店が入って活気が戻っても似つかわしくない。


...などとこれを書いていたらラジオからマーラー5番アダージェットが流れた。

数日前、ジェン・ヌーベル設計のフィルハーモニー・ド・パリの建物をまだ見ていないと思っていたら、たまたまマーラー5番をやるというので聞きに行ったばかりだ。

パリには『ヴェニスに死す』的な「完全な美」到達に必要な美のパーツが揃っているのであろう。

......


さて、これから英国へ帰り、今週はいずこへ。
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