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Brugge Style
swan lake 2018, natalia osipova 2
ロイヤル・バレエ新プロダクション「白鳥の湖」を見た。
今シーズンはこれで6回目になる。
昨夜はナタリア・オシポワ(Natalia Osipova)のオデット・オディールだった。
前回、彼女は王子が花嫁を選ぶ舞踏会の場面で、あの有名なオディールのグラン・フッテ32回転をやらなかった(代わりに超スピードのピルエット)ため、あれはいったいどんな事情だったのかと、いつもとは違った意味でも楽しみにしていた。
ちなみにグラン・フッテは彼女の十八番のひとつである。
やりませんでした、32回転。
やはり光速ピルエット。
他のダンサーはマリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez 完璧な32回転。神業)も、サラ・ラム(Sarah Lamb)もやったので、これが公式振り付けというわけでもない。
まことしやに噂は伝わってくるものの、どれにもあまり決め手がない。気になるなあ。どこかにインタビューがないかなあ。
さて。
先日イングリッシュ・ナショナル・バレエのコンクールで、若手のダンサーが踊るパ・ド・ドゥを4つほど見たばかりだった。もちろん若手の彼らも今後熟達していくのだが、ナタリア・オシポワを始め、プリンシパルがどれだけすごいのかというのがとてもよく分かった。
まず、ほんのわずかの変な間がない。秒の何十分の一という単位でも。
音楽や動きが余らない。
ピアニッシモな動きにもぼやけた輪郭の動きというのが全くない。弱い動きとぼやけた動きは全く違う。若手ダンサーで気になったのが、決めのポーズに減り張りがより少なく、動きに奥行きや重層がないことだった。
ところでわたしのシロウト意見として、マシュー・ボル(Matthew Ball)はジークフリード王子としてはいまひとつだと思っている。
青春の苦悩と、突然の恋に落ちた喜び、誘惑に負けるあふれる熱情が伝わって来ず、それどころか彼がいなくても筋に全く影響はないというくらい存在感が薄い。特にオシポワの相手役としては力不足だと思う(うまい相手と組んで成長するという目的はあるだろう)。
ナタリア・オシポワ、第2幕の舞踏会のパ・ド・ドゥの登場のシーンで、まだ何もしていない(舞台に素早く登場するだけ)段階でポワントが滑って尻餅をついてしまった。あの数秒間でいきなり裂け目から現実が顔をだしたようになったが、すぐに持ち直して最後まで踊った。もう母親のような気持ちでハラハラしましたよ。
卑近な例、わたしは冬のフレンチ・アルプスのホテル前で、漫画のような尻餅をつき(前夜、ボヤがあったので消防車がこぼした水が凍っていたのだ)目の前に星が飛び、しばらく動けず、数カ月にわたって痛みで往生したので、ただの尻餅とは言えないことはよーく知っている。
怪我だけはしないでほしい!
(写真はRHOより、 Bill Cooper。リハーサル中のオシポヴァとボル)
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