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aulis@fera




わたしが贔屓にしているクラリッジのレストランFeraには実験室がある。

フラスコの中で液体がポコポコ音を立て、モーターが回り、日夜研究と実験が行われている...


比喩じゃないくて本当に。

Feraの農場で収穫された材料と、世界各国のすぐれた手法や食材を無限に組み合わせて。


実験室内に時々6人分の席を用意し、レストランではまだ出されてことのない最終試作段階の料理をテイスティングさせる機会があり、この体験はまさに複合アート体験だ。

特に「料理は科学」的なアプローチがおもしろく、

過去の経験と修行から一種の「感」を磨いた職人さんが生み出す、確かでありながら意外性たっぷりの料理、

どう考えたらそんなこと思いつけるの? という驚きあり、

職人さんの手の動かし方に惚れ惚れさせられ、

芸術作品のように見て美しく、

食べて唸るほどおいしい。

ウンチクもいちいちためになる。


例えば「昆布茶」がここのところインで、「昆布だしをフルーツジュースに混ぜたり、フルーツソースに使うとすばらしい組み合わせになる。(日本人のキッチンには昆布あるでしょ?)ぜひ家で試してみて」「昆布をスタウト(英国ビール)に漬けてだしをとる」と教えてもらった。

日本人にとって日常的に使う馴染み深い材料の意外な利用方法を聞くたび、心の中に存在するとさえ知らなかったひとつの窓がぱあっと開いた感じがして、爽快だ。


うわー神様っ! すごっ! ふぁんたすてぃっく! えくせれんと! とか、ものすごく貧弱で月並みな感想しか出てこない。

和食に対する敬意があちこちにちりばめられているので、「洗練された和食を思い出させるけれど、絶対に今までに味わったことのない味がする」と言ったのが一番喜んでもらえた(と思う)。


定期的に参加して、「自分が囚われている箱の中から出て物ごとを見る喜び」体験がしたい。もちろん自分の料理に取り入れられるヒントはどんどん取り入れたい。


(まだレストランで出されたことのない料理なので、写真は自粛。上の写真はだいぶ前にレストランにて)
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