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天国に一番近い村








ニューカレドニアが、いわゆる「天国に一番近い島」ならば、エーゲ海サントリーニ島のフィルゴス(Pyrgos)は「天国に一番近い村」だ。

なぜなら、何世紀もかけて小さな丘一つ分に這うように形成された、現在の人口わずか732人(2001年の統計)の村は、家屋も壁も道も教会も真っ白で、迷路のような路地は33もの教会に突き当たりながら、頂上に冠のように立つヴェネツイア共和国時代の城塞跡まで続く。

神秘的なほど深く青い空から黄金の太陽が直下に白い村を照りつけると、静寂の中、路地に佇む人間の目はたちまち眩み、今にゼウスやヘラが降臨して無茶を言い出すのではないかと思うほどだ。

夜は夜で、 "Ye stars! which are the poetry of heaven!" 「汝ら星々よ!天上に刻まれた詩歌よ!」(バイロン)。

日曜日の朝は聖テオドシウス教会からもれる礼拝の妙なる音で丘全体が包まれる。

聖なるかな!
絶対に「天国に一番近い村」(の一つ)に同意してもらえるはずだ!


新婚旅行でサントリーニを訪れる日本人が多いとレストランの亭主に聞いた。
ポピュラーでにぎやかで洒落たホテルが多いイア(Oia)やフィラ(Fira)も、そりゃ言葉を失うほど美しい(前回投稿の写真はフィラから徒歩で行ける隣村フィロ・ステファニからの眺め)が、イアからタクシーで30分、フィラから10分ほど足を伸ばして、ぜひ半日でも静かでのどかで土着的で、観光客も少ない、青と白の光の織りなす夢のようなフィルゴスへ。

おすすめです。



(かく言うわたしもフィルゴスのことは全然知らなかった。が、あまりにも気に入り、休暇を延長してまでこの村に宿を取ってぶらぶらしたのだ。フィルゴスのホテルは、人けが少ないという点では前半滞在したペロポネス半島辺境にあるシックの極みAリゾートと同じだが、施設やサービスは全く別種のものが提供された。Aリゾートが、まるでギリシャ神話の女神に仕える神官のようにもてなしてくれるとするならば、フィルゴスのホテルは遠い夏休みの思い出そのものの中に生きているような気分を味わせてくれた。ホテルの各建物が村の公道に散らばっているという不思議な構造で、ホテルが教会の敷地内にあるのか、教会がホテルの敷地内あるのか(どちらも違う)...とにかく村そのものに魅力がある)
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