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英国と言えば...半裸の人々




ロンドン市内でも見かけるが、もっとその生態を観察したいと思うなら、郊外、あるいはマンチェスターやバーミンガム等の地方都市の繁華街を週末の夜狙うとよい。

クラブの入り口に列を作っている、やさぐれた半裸の若い英国人の生態。

男性がどれほど薄着なのかには気がつかなかったが、女性は風呂上がりに手ぬぐいを巻きつけたかのようなデザインの見るからに安いドレスをまとい、履き慣れないハイヒールをずるずるひきずっている。
肌の張り具合や、脂肪のつき方、髪の艶を見るに、ティーンエイジャーか20代前半なのだろう。ヘタクソな化粧が物悲しい。
「ちょっとアンタ、スカートが上がってるで!」と、サイズが合っていないためにずり上がっているスカートの裾を直してやりたくなるのは、わたしが神出鬼没の「着物の帯やおはしょりを駅ホームで直してくれるおばさん」タイプだからだろうか。

あのような姿で外出することを許す家庭の子供たちなのだろう...

それともわたしもあのころはこのような格好で出歩いていたのに(ボディコン全盛期だったから)、大人の都合で記憶から抹消してしまったのか。
補足しておきたいのは、ボディコンの全盛期は80年代であって、ジュリアナの時代は80年代の劣化版、あだ花なのである。誤解なきよう。

話を戻す。
もし自分の娘がそのような安い姿で外出しようとしたら...

わたしは引き留めはしない。しかし安いドレスと靴は脱いでもらう。そしてきっちりロラン・ムレのドレスとジミー・チュウの靴を貸与しよう。気候的に必要ならば80年代に着ていた真っ白の毛皮のコート(笑)を貸しても良い。
コート。寒いもん、必須ですよ。


が、クラブの入り口に列をつくるやさぐれ集団は季節を問わずコートを着ていない。まるで並んでいる間に突風が全員の上着を公平にさらって行ったかのように。
氷雨の夜も、マイナスになろうかという真冬の夜も。





わたしは初め、突風が...いやいや、自分の身体の価値をそれなりに理解した若い女がその魅力を道中から、入り口で待機中の時点から、100パーセント全開バリバリで放出し、「素敵な」相手を見つけるために生み出した手練かと思っていた。それともレッド・カーペット的発想なのかとか。
より「優れた」恋愛相手を見繕うための、動物の雄の求愛ディスプレイ。リビドー。若いって強烈な生エネルギーを放つんだなあ。


この話をわたしの英国生活の師匠にしたら、教えてくれた。
彼女ら(彼ら)は溢るるリビドーに突き動かされているのではない。

クロークにコートを預けたくないのである。

盗難の恐れがあるから?

否、預かってもらう際に発生する、50ペンスか1ポンドだかのチップがもったいないから、だそうである。それは英国人の生態として結構知られた話らしく、師匠は先日笑いながらこんなポストカードをくれた(写真上)。

強烈な生エネルギーと言うよりかは、生活の知恵、という感じだ。


でもどちらも生き延び、子孫を残すための欲動なのかも。


あ、白い毛皮を着た娘を送り出すなら、忘れずに50ペンス余分に渡さなくては!!
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