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verlorene stad







Fernand Khnopff
忘れられた街



7月、8月はブルージュには一夜帰ったきりだった。

13年間住んだブルージュを離れて英国に来てから早丸2年、ブルージュを離れている時に思う「ブルージュ」は、クノップフの描いた「忘れられた街」のような様相を呈してきた。

海は街の方へひたひたと静かに、しかし確実に寝食して来、そしてついには街ごと飲んでしまうだろう。その後には海の淡いブルー以外には何も残らないだろう。

建物の扉と窓はきっちり閉ざされていて、しかも外から開けられるような取っ手はひとつもついていない。

鳥すらも飛んでは来ない、捨てられた街。

こちらからその風景を見つめているわたしに惜別する建物。建物、つまりは記憶。

遠くから声が聞こえるような気がするが、たぶん、空耳。


9月最終の週末は必ず帰ろう。
冬が来る前に。
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