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alice's adventures in wonderland @ royal ballet




ロイヤル・バレエの「不思議の国のアリス」は、ロンドン滞在時に見る価値があるかとの心躍るご質問を頂いたので、わたしの分かる範囲でお返事を差し上げた(E様その節はありがとうございました!)。


即答すると「ある」と思う。
これを目的に英国に行くのは価値があるかと聞かれたら5秒黙ってしまうかもしれないが、もし旅行と公演期間とが重なったら絶対におすすめしたい。


ロイヤル・バレエの新プロダクション「不思議の国のアリス」は、去年の初演時から娘の心(わたしのも)をがっちり掴んで離さなくなった。家でも何度繰り返しDVDを見たことだろう。

今シーズンは娘のたっての願い...「DVDと同じ主要キャストのヴァージョンが見たい」を叶えるために行ってきた。
そんな言い訳がなくても、わたしの方からお願いしてでも見たかったのだ。今後ロンドンの近くに住む限り毎年馳せ参じ続けるだろう。


総合芸術の醍醐味を味わうとはまさにこういうことだと思う。
全体を見ても細部を見ても妙なりで、押し具合と引き具合の巧みな構成に快感を覚えるのだ。
時間と空間の移動のさせ方、洗練された舞台装置と衣装のデザイン、舞台の使い方、キャラクターそれぞれの魅力、忘れてはならないこの作品のために書かれた音楽の完成度、オーケストラボックスを覗いてみて分かった打楽器の尋常でない多さ(木琴鉄琴の数! ロイヤル・バレエの楽しみのひとつはオーケストラだ)、そしてダンサーの...何と言えばいいのだろう、すごいよみなさん上手すぎ...
すべてのタイミングとコーディネーションの「これ以外にはあり得ない」ほどの隙のなさ。いったいどうしたらこんなアイデアを思いつくの? という場面が次々登場し、ごまかしのひとつもない技術で、観客の関心を一瞬たりとも逃すことなく進行して行く。快感。

お話的にはストーリーよりもプロットを好むロイヤル・バレエだけあって、たっぷり因果と意味付けがしてあるのはあるのだが(ここにもそれについて書いたことがある)、ハリウッド映画、ティム・バートン監督の「不思議の国のアリス」を「意味の国のアリス」でこき下ろした時とは違い、意味付けがあまり気にならなかったのは何のマジックだろう。言葉が介在しないからか...



バレリーナのオムニバス、"Ballerina"の中で、ダイアナ・ヴィシュネワ (Diana Vishneva) が「新しい演目を創造することの不可欠さ」を語っており、それがすべて成功するとは素人のわたしにも思えない。そんな中で、ロイヤルバレエの「不思議の国のアリス」は、近年まれに見る大成功と言っていいのではないか。



今回残念だったのは、オリジナルキャスト版(DVDのキャスト)のチケットを取ったのにもかかわらず、主役アリスのローレン・カスバートソン (Lauren Cuthbertson)が怪我で代役が立ったこと...
しかしサラ・ラム (Sarah Lamb) が代役(なんと豪華な代役)で、初めこそがっかりしていた娘も「やっぱりすごい」とつぶやいたほどだった。
まあ雰囲気的な「アリス」はローレン・カスバートソン、と娘は最後まで言い張っていたが(ちなみにローレン・カスバートソンのアリスは、ダーシー・バッセル (Darcey Bussell) 以来の人気を誇っているそうだ)。


もしも機会があったらこれはぜひご覧になって頂きたい「とっても英国的なもの」のひとつ。
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