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裏窓ドレス




今年12歳になる娘が6月にカトリックの堅信式を受ける。

夫の親族が熱心な信者なわけではない(わたしも日曜学校やキリスト教系の学校へやられていたが、信者ではない)。
彼らの話を聞いていると、この式を日本人が「七五三」をとらえるような感覚でとらえていることが見えてくる。七五三のお祝いを神道信者のみが行うのではないように。
庶民の共同体参入式、というわけか。
わたし自身も、こういったセレモニーは大切だと思っている。


堅信式の準備段階として、去年末からいくつかの勉強会があった。
老人ホームに届けるカードを手作りしたり、教会を訪問して建築様式について話を聞いたりという内容だ。カトリックの核心をつく授業を受けるというよりも、その周辺をかすめる感じ。
昨今頻発している教会の不祥事のためだろうか、それとも会員募集において「消費者に受けそうな」広告代理店的リサーチをしたのだろうか、などといらぬ想像をしてしまう。

本番の式の後は、共同体成員が新参者のためにパーティを開きプレゼントを授けるのが慣習だ。
わが家はパーティは簡易にし、12歳になったら取得できるダイビングの免許のために南の島へ行くのがプレゼントと決めていて、後は子ども服ブランドが式向けドレスの販売を2月頃から始めるので出遅れないように、という話を義理母から聞いて驚いた...あ、やっと出てきましたね、今日のタイトル「ドレス」。



年末、趣味年代の異なる家族3人がいっしょに鑑賞できる映画として、わが家にヒッチコック作品のかなりまとまったセットを導入した。

ある夜、「裏窓」。

しょっぱな、夫が天啓に打たれでもしたかのように「堅信式のドレスはこれに決定」とウキウキ言い出した。

グレース・ケリーが最初の登場場面でまとっている、fresh from the Paris plane、当時のレートで1100ドルのドレス。
黒のトルソーに白いオーガンジースカートのあの超有名なドレスだ。
夫はこれこそがわが娘のための堅信式用ドレスだと言う。「真珠のネックレスも合わせて」。おいおい。
胸の空き具合、パールのネックレスなど、そっくりのコピーは子どものドレスにはならないにしても(夫は可能だと思っているところが男の考えである)、あの「雰囲気」はやっぱり時代を超えてええよね...


わたしはこれまで服飾品に対する男性の意見を取るに足らないものだと見なし、ほとんど無視してきた。

例えば、一般の男性にとっては、女性パートナーの「黒のドレス」はクロゼットに10枚あろうが20枚あろうが、全部同じ「黒のドレス」である。シャネルのツイード製だろうが、ランバンの切りっぱなしの裾がモードだろうが、セオリーの定番のドレスだろうが。

彼らが見ているのは単に「シルエットが美しいか否か」ということだけだ。だからたとえそのドレスが有名デザイナーによる芸術的で希少なものであっても、スカート丈や身体への沿い方が着ている人に絶妙にマッチしていなければ「...まあまあですね」と評され、「めっちゃかわいい」ギミック等でさえ判定の中に含めてもらえない。
反対に旅先の海辺でやむを得ず買ったような10ユーロのサンドレスでも、シルエットが合っていれさえすれば滅茶苦茶に誉めてもらえる。

もちろん女性が女性のドレスを見る目は完全にこれとは違っていて、シルエットももちろん大切だが、ディテールとか遊びとか、他にはない凝り方とか、記号的な部分への評価が大きい。

それでちょっと大人になったわたしは、数年前から「男性の意見を取り入れたら絶対にスタイルよく見える」「誰が見ても美しいというのは大切」ということを学んだわけですよ。今では夫の意見もバカにはしません。



そういうわけで独自の裏窓ドレスを探しにパリへ行く所存。

堅信よりも衣装選びに熱心になるというのが何とも小市民の楽しみ的である。


わたしの衣装?首尾よく用意済み。Roland Mouret。
裏窓ドレスが実在したらそれを着たいですけどね...



グレース・ケリーは世間の評判に反してあまり好かんと思っていたが、ドリス・デイとジュリー・アンドリュースの間に見たからか圧倒的に美しく見えた。小さい目鼻口って上品ですね...

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