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反面教師




わたしは自分が欠点だらけであることをよく自覚している。
わたしの欠点の一つは自分の欠点に気がついているにもかかわらず、それを直そうとしないことだ。



先日、苦渋に満ちた表情でダイニングに座っていたことがあった。

タイミングの悪いことに娘が側にいたので、わたくしは今、こういう出来事に影響されてネガティブになり、八つ当たりもしているが(笑)、それは全き大人にふさわしくないから改めようと思う、この怖い顔は許して欲しい、と反省を込めて話した。そうしたら思いがけず、

「ママは悪くないです!ママは全然悪くないです!ママはいいママです!」と泣き出してしまったので、子どもにとっての母親存在の大きさを空恐ろしく思った。



おそらく、子どもの世界はかなり狭い。
彼女は9歳だから、母親とミルクと排泄だけの世界よりもだいぶ広い世界に住んでいるだろうけど。
そんな世界の住人にとって、母親が真善美を象徴していないとしたら、うむ、やはりそれは世界の崩壊、ハルマゲドンなのかもしれない。

世界崩壊を防ぐためだろう、子どもとの世界を密に完璧に作り上げようとする親がいるけれど(瑕疵のない育児をしようとする人とか、受験だけしか目に入らなくなっている人とか)それはそれでもっと恐ろしい。

子どもを育てるとは、子どもに完璧な養育を施すことではなく、ある日子どもが、母親は(つまり世界は)パーフェクトではないかもしれないと気づいたとき、それでも世界は崩壊などしないし、それでも自分の力で最善を尽くして生きて行かなければならないと教えることだと思う。

...ずっといいかげんでその場しのぎにやってきたわたしの言い訳じみてますな。



この世の中には「反面教師」というありがたい言葉がある。見本にならない行いからすら子どもは学べるという尊い学習能力である(もともとは文化大革命の時に使われ始め、意味合いが違う言葉だったそうだが)。

「反面教師」って、経験に基づいて初めに言った人、天才。



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