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終の住処




エステでネイルをしてもらっていたら、窓にかかったブラインドを覗き込むようにして80歳(いや、もっと上)くらいの男性がエステのおねえさんに手を振った。


彼女のおじいさまかと思ったが、サロンの先にある老人ホームの住人なのだそうだ。
毎日散歩の通りがかりに愛想良く手を振ってくれるらしい。幸いなるかな、愛想のいい人。


福祉国家ベルギー、高齢化している。
ブルージュにも老人ホームは数あり、予算と好みと体調に合わせて入居できる。例えばこの男性が入居しているホームは、修道院であった建物を改築して使用している「高級ホーム」(エステのおねえさん談)であり、内部は瀟洒なホテル並みの設備を整えているのだそうだ。わたしも一度モニュメントの日に庭を拝見したことがあるが、なるほど手入れが行き届いて、俗っぽいものは何一つ置かれていなかった。

おねえさんが「将来のことを考えさせられるわよね。でもああいう高級老人ホームならいいかもね。」(彼女はワタシより若い)と言う。



わたしはできたら老後は日本に住まいたい。
人と食事が恋しいからである。
わたしの友人に、楽しくも入居審査の厳しいホームを計画している人がいて、わたしは大声で入居を希望している。敬愛する友人たちの近くに住めたらどんなに愉快だろう。
そこで昔話をしたり、うわさ話をしたり、最近の若者は...という出だしの話をしたり、手習いをしたり、勉強会をしたり、イベントを企画したり、ボランティアをしたり、そういうことをして暮らしたい(ぜんぜん枯れてないな・笑)。

あるいは高齢になった夫に日本住まいを強要するのは酷かもしれない。ならば中をとってハワイ島あたりどうだろうねえ。子どもに書道なんかを教えながら常夏の島で暮らしたいねえ。

あるいは僧侶になるのも捨てがたい。


願えば叶う、というのはスピリチェル系の特許ではなく事実なので、将来を思い描くときは際限ない幸せを思い描く方がいい。



...わたしがそういう将来を想像する時、自分が寝たきりになっているとか、一文無しになっているとか、そういうファクターは注意深く排除されている。

自分も年を取る。自分も病気になる。
老人ホームなぞ夢のまた夢、ホームレスになるかもしれないし、身寄りがなくなるかもしれない。認知症になるかもしれない。



ある時から、これからは自分のためではなく人のために生きようと思ったものだが、まだまだ自分の娘のためにさえも生きられていない。
このまま、自己中のまま、ガワだけ老女化していくのだと思うと情けない。

終の住処を得るまでにはこの自己中をできるだけ治療し、清らかな庵を結びたいものである。



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