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Brugge Style
プリマベーラ
谷崎潤一郎がエッセイに、京都では今でも絵巻物にでてくるような顔に出会うことがある、と書いていた。
ブルージュでも中世の顔に出会うことがよくある。
例えば夫。娘のベレー帽をかぶってふざけている様子は、そりゃもうヴァン・エイクの肖像のひとつであると言われても納得な風情だし、先ほど雨の中をショールを頭からふんわり被って歩いていた青ざめた老女の顔は、メムリンクの絵のようであった。
娘の学校の2級位上のクラスには、わたしが密かに「プリマベーラ」と読んでいる少女がいる。
彼女の雰囲気たるや、顔立ちから肌の色、髪の質感に至るまで、まさにラファエロ、天上の人。ラファエロは美の理想を描いたのではなく、写実主義であったのか...特に彼女の横顔は超ルネサンスで、盗み撮りしたくなるほどだ。
これがアブナい人の衝動なのか...でも、フォン・アッシェンバハの気持がすごく分かる。
人間の顔には、皺もあれば分泌物もあり、並んでいる部品も配置もそれほど「美」にかなっているとは思えない。プリマベーラは文句なしに美しいけれど(そうは思わない人もいるであろう)、赤いベレー帽の夫は間抜け(ごめん)だし、ショールの老女は物悲しい。しかしそれらを「をかし」と感知するのはなぜだろう...
ま、割り切れないことがいろいろあり、美に翻弄され(笑)、それだから人間でいるのは愉快なのだが。

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