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去年マリエンバードで
昨夜、親友と映画の話で盛り上がっていて、ふと思い出したことがある。
L'annee Derniere A Marienbad
初めてこの映画を見たのは10代の頃だ。
DVDが発達したおかげで幸運にも今はわたしの手元にあるが、それ以前は毎日文化会館などで放映されるたびにしつこく見に行ったものだ。
「去年マリエンバードで」で思い出し、自分のために書き留めておきたいことがあるのだ。

『10年ほど前。わたしは大学に通い、猫と暮らしていた。
週末ごとに遊びに行っていた大阪の某所で、ある夜友だちと飲んでいると、たいそう若く美しい(<これポイント・笑)男がこっそり馴れ馴れしく近寄ってきて、先週の土曜日を一緒に過ごした僕のことを無視するのか、と恥ずかしそうに言うではないか。
わたしには全く身に覚えがないハナシで、しかし超真面目そうなその男は「人違いをしてるって?絶対にあなただった。覚えてないなんて信じられない。」ときた。
わたしは彼が「去年マリエンバードで」を見て「実験」をしようとしているのか、あるいは誰かからわたしがこの映画が好きだということを聞いて手の込んだナンパをしようとしているのか、はたまた罰ゲームでもやらされているのか、と思ったほどだった。
あまりにもかわいらしい男だったので、そのヨタ話につき合ってみてもよかったが(笑)、偶然にも彼はわたしがお互い家を行き来するほど仲のいい友だちであったジョセリンの新しいボーイ・フレンドだということが判明した。
その後、わたしが彼女と一緒のイベント時には、彼らはもちろんカップルで来るわけで、たびたび彼がものすごく挑戦的な目つきでにらみつけてくるのには閉口した。
そういった折々の機会で学んだのは、彼が純朴で月並みな男で、それ故「去年...」のような映画を見るようなタイプにはとうてい思えなかったし、仮に見たとしてもそれをネタに女を口説こうなどという蛮勇もないだろうということだった。
いずれにしても彼は自尊心をいたく傷つけられたようではあった。
幻の女に?時間に?自分の記憶に?
わたしは自分がウソをついていない、という「記憶」しかない。
別嬪だったジョセリンは彼とはとっくに別れてしまっているし、今となっては扱いようのない、つまらない、しかし我々が投げ込まれている世界を象徴するようなー
思い出。』
*「去年マリエンバードで」と、芥川の「薮の中」とは扱っている事柄からして違う、と思うのだがどうだろう。
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