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マダム




アントワープの静かなショッピング・ストリートを歩いていると、ロングの毛皮を着て、電動車椅子を運転する、かなりお年を召したマダムが「マダム、劇場のドアを開けて下さらない」と声をかけてきた。
劇場入り口には車椅子用のスロープはあるけれど、重い扉が2つあるのだ。


彼女は背筋をぴんと伸ばしたまま、「ありがとう」と繰り返したが、「こちらこそ、小さな手助けをさせて下さって、本当に有り難いことでございます」と、召使いになったような妙に謙った(へりくだった)気持になった。


彼女から強く伝わってきたのは、紳士が何をしても紳士であるように、マダムは何をしてもマダムなのだということだ。
マダム道も奥が深いのである。


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