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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

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ラスト、コーション

2008-02-05 | 映画
『色、戒』(自己の色情を戒めろ)、仏さまの教えとは言え凡人にはとても無理な話である。自己をあれだけ律していたイーをもってしてもである。

日中戦争のさなかの1938年の香港、その3年後の上海を舞台に、日本の傀儡政権特務機関の顔役であるイー(トニー・レオン)と、彼に接近して暗殺を謀ろうとする女スパイ、ワン・チアチー(タン・ウェイ)との危険な関係がスリリングに、激しく、そして空しく描かれていて、一時も飽きさせない。
前作の『ブロークバック・マウンテン』では、男同士の切ない愛を描いたアン・リー監督だが、偽装した仕組んだ出会いが発端でも、今回も破滅への道まっしぐらの、危うさを抱えた2人のメロドラマに仕上げ、やはり切なさが尾を引いてしまう。

純情な女子大生が軽い気持ちで演劇を始め、軽い気持ちで身を投じた抗日運動だが、イーに出会ってからは乙女から大人の女へと変貌し、それを演じたタン・ウェイがとてもいい。
一方、トニー・レオンの不安気で孤独な眼差しは、少年のような清潔感と、セクシーな大人の男が同居していて、これまたいい。
敵同士の男女が情欲の虜となってゆく過程は、『愛の嵐』を想い起させ、後戻り不可能な関係には、どちらかの死、または両方の死、いずれにしても悲劇的な結末しかあり得ない。
最初の逢びき場面の、まるでレイプもどきのSMチックな情交シーンに『愛の嵐』のデカダンスはないが、透かして見えるのは死である。

前半のふたりの心理戦は、もっぱら視線の向け方が印象的に撮られてて、とてもスリリングだ。ふたりの視線の絡み具合、そしてその先にあるもの、要注意である。
また、女たちが卓を囲む「麻雀」という不思議な場でのしたたかな会話と視線も印象的だ。
最後の「指輪」は、二人の愛を繋ぐ愛の結晶であり、残滓であり、そして「戒」を破ったふたりの象徴でもあった。
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2 コメント

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愛の嵐 (kimion20002000)
2008-10-20 17:39:05
こんにちは。
ヨーロッパの批評家たちは、この作品を「中国版愛の嵐」と喩える向きもあったようですね。
中国版「愛の嵐」 (butler)
2008-10-21 03:27:29
>kimionさん、

政治の季節の終わりには
暴力的な?性愛がにあうのかなぁ?

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