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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

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007 カジノ・ロワイヤル

2006-12-31 | 映画
娯楽性、中身ともに充実した娯楽映画の楽しさを満喫できた。
導入部はジェームス・ボンドがダブル・オー(殺しの許可証)を得て、初めて007となるエピソードが犯罪映画のトーンのようなモノクロ画面で紹介され、キメのガンショット・ポーズはとるが耳慣れたテーマ曲(モンティ・ノーマン作曲+ジョン・バリー編曲)は流れて来ない。
代わりに、軽快な男性ヴォーカル♪You Know My Name♪(音楽=デイヴィッド・アーノルド)に乗せて、トランプをモチーフにしたアニメーションのオープニング・タイトル(デザイン=ダニエル・クラインマン)がスタートする。
僕は、この時点で早々と本作の成功を確信していた。

映画化権が獲得できなかったプロデューサーのアルバート・ブロッコリだったが、やっと原作者イアン・フレミングのボンド登場第1作へ回帰して、冷戦時代よりも混沌とした今の世界状況における、従来のボンド像とは違った新しいボンド像を創り上げてくれた。
意表を突いたダニエル・クレイグの起用は、当然賛否両論あったようだが、ポスト・ショーン・コネリーのボンドには殆ど魅力を感じなかった僕としては、喜んで新ボンドの誕生を歓迎したい。
その根拠の第一は、不可欠なマッチョイズムの視覚化に耐えうる脱ぎっぷりの良さだ。次にクールではあるが洗練されたイメージとは異なる、粗削りな純朴さ。そして、悲しみを湛えた深いブルーの目。もちろん、身体能力は言うまでもない。オープニング直後の建築中の高層鉄骨ビルを舞台した追いかけっこは、縦横無尽の垂直水平高速移動で、高所恐怖症でなくても眩暈がしてグッタリしてしまうほどだ。

一方、今回のボンド・ガールのエヴァ・グリーンも、従来の肉体派女優とは趣を異にしている点では異色だ。最大の見どころは勿論、緊迫したカジノでのポーカーの大勝負場面だが、ボンドの本気の恋の相手役として余りにも切ない結末が、ノンストップ大活劇に潤いと余韻を残して印象的だ。
ボスのM役は大好きなジュディ・デンチ。「冷戦時代が懐かしい」とうそぶくが、東西の冷戦構図では計り知れなくなった混迷の世界情勢を考えると、案外本音含みで言わせたセリフにも思える。脚本の仕上げのリライトを担当したポール・ハギス(『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』『父親たちの星条旗』)効果であろうか。

ジョン・バリー(音楽)もモーリス・ビンダー(タイトル・デザイン)も既に居なくなり、SF風な派手なガジェットも登場しないが、除細動器(AED)、携帯電話、パソコンなど、我われにも身近で現実的な小道具が活躍する。時代が作品にやっと追いついたということであろうか。

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4 コメント

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Unknown (betty)
2006-12-10 17:56:36
はじめまして。トラックバックさせていただきました。この映画、なかなか良かったですね。次回作にも期待してしまいます。
はじめまして (butler)
2006-12-10 20:02:56
>bettyさん、

僕は未見ですが、『トレンチ』で既にダニエル・クレイグに注目なさったのは、先見の明がありましたね。

TB&コメント、どうもありがとうございます。
これからもお邪魔させていただきます。 
Unknown (ケント)
2006-12-10 20:21:33
ケントですこんばんは。TBありがとう。こちらもTBお邪魔します。
新ボンド役のダニエル・クレイグは、渋くて素晴らしいです。ただ女性にはハンサムなピアース・ブロスナンのほうが良かったでしょうか。僕には分かりません。いずれにしてもSFからスパイ映画に戻ったようで好感を持ちました。
こんばんは (butler)
2006-12-10 22:07:08
>ケントさん、

僕も誰かに似てると思ったのですが、おっしゃられる通り
顔の造りが確かにスティーブ・マックィーンですね。

これからもお邪魔させていただきます。
TB&コメントどうもありがとうございます!

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