レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ファンドーリンの捜査ファイル

2015-02-05 13:25:00 | 
ボリス・アクーニン『堕ちた天使  アザゼル』『リヴァイアサン号殺人事件』『アキレス将軍暗殺事件』
 『アザセル』は「作品社」、2002年、あとの2冊は岩波書店2007年。
 図書館のロシア文学の棚で目にはいった。19世紀末のロシアを舞台にした歴史ミステリー、そんなものがロシア作品にあるとは珍しいと思って借りた。作者は日本文学者が本業で「アクーニン」は「悪人」のシャレだという。
 主人公エラスト・ファンドーリンはモスクワ生まれ、両親は早く亡くしているけど貴族の出、ダンディでシャイで切れ者の美青年。話の始めに20歳。
 2007年の時点で11作出ていて『アザゼル』が1作目、事情あって2作目を飛ばして『リヴァイアサン~』『アキレス~』は3、4作目。三作目は外交官として日本へ行く船の中での殺人事件、『オリエント急行』をどうしても連想する状況。『アキレス~』はその四年後、日本で拾った(?)従僕がお供している。ヤクザでファンドーリンに命を助けられたということになっている。シバタ・マサヒロ、そういう名前のまんが家いるけど単に偶然だろう。
 ファンドーリンは氷風呂にはいる習慣がある。ある時、潜って顔を出したら婦人客がいた。女性だけ立たせていてはならないという教育が身についていたので反射的に立ち上がってしまい、慌ててまた座り直す・・・のは笑えた場面。
 もう一つ。船の客には日本人がいて、彼の日記に、西洋人がハンカチで鼻をかんで、しまって、また使うという習慣をヘンなものだと記している。そう、作者の日本理解の一端だな。
 私は活字を読む際、登場人物のビジュアルにマンガを借りることがよくある。理由があって選ぶこともあるし、たいして意味のないこともある。 単にロシアというだけの連想で、ファンドーリンは「まんがタイムファミリー」の『スパイの歩き方』by速水螺旋人 のペルツォフカを借りた。ファンドーリンは黒髪であり、ペルツォフカは(たぶん)金髪だし、ぜんぜん似てないけど。
  

アーヴィング『スケッチ・ブック』上
 岩波文庫のわりあい新刊。エッセイや短編。英国の風物や異国風景の観察等。ドイツ、ライン流域を舞台にした『幽霊花婿』は浪漫的で少女マンガにも良さそう。

『マラルメ詩集』はやはりわからんかった。ここにも「サロメ」題材があり、しかしサロメという名前がヘンな意味の言葉と似ていて気に入らないので「エロディヤード」の名前を使っていて、そういう前例はあるという説明は興味深いものだった。「ヘロデヤ」よりも「エロディヤード」のほうが耽美調に見える。
コメント
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