レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「学習漫画 世界の歴史」文庫化

2009-02-22 06:30:32 | 歴史
 集英社から2002年11月に一挙全20巻で出ていた「学習漫画 世界の歴史」が、先月から文庫で出始めた。「漫画版 世界の歴史」になっているのは、「学習漫画」では児童書のようだからなのか。2巻を1冊にしている、ただし一部は同じ順番ではない。「6巻 フランス革命と産業革命」と予告されているけど、元の13巻が産業革命で11巻が市民革命だったから。元の11+13→6巻、12+14→7巻、たぶんほかは同じ。13巻はほかでもない、あずみ椋さんの担当だったのでこれはしっかり記憶している。 私はまえに出たときに、絵がわりに少女マンガ度の高い巻を選んで買った。今回、2巻で1冊なので同じ本の中で差がある。今月出た3巻4巻を買った。これらは半々だ。フランス革命は、かつて「りぼん」で描いていた(私は読んだことないけど)笈川かおるさんなので、新6巻は全体に絵がきれいにまとまるぞ。--ひいき目をさしひいても、あずみさんの巻は出色だと思う。

 それにしても、漫画家名の軽視には腹が立つ。2巻を1冊にまとめてあるので前半と後半で別の絵になってるわけだが、どちらがどちらなのか明記がない。中表紙に名前を並べてある順番だろうと見当はつくだろうけど。
 それに、カバーイラストがそのどちらの絵でもなく、これまでのところは全巻(ローマの担当だった)井上大助氏の絵。もし袋入りならこれが中身の絵だと思われてしまうじゃないか。誤解されるなら絵はないほうがましだ。
 表紙に、監修者の名前はあるのに漫画家はない。「巻末エッセイ」もあるのにマンガの担当者の名前は載ってない。
 見返しに監修者の紹介はあるのに、漫画家にはない。最低限の名前表記のみ。
 学習マンガは、描き手の個性を出すのが難しいジャンルだという。ならばよけいに、どういう絵で描かれるかは読者にとって重要だ。
 --もっとマンガ担当者の名を尊重せんかい!

 

 
 世界史学習マンガで文庫化してほしいのは、中央公論で出ていた手塚治虫監修のアレと、ムロタニツネ象さんのシリーズ。前者は、一部で伝説的な「大いなる理想」(オクタヴィアヌス少年とその友の友情を軸にローマ共和制末期を描いたスグレモノ)を含んでいるから。後者は、肖像を生かしたキャラデザインが秀逸だから。
 こういう、同じテーマの学習マンガをそろえて、小中学生たちに読ませてアンケート、なんて企画があっても面白そうなのに。


2015.8.27に付記。
先日、地元書店で最も児童書のスペースが広くて学習まんがも豊富な本屋で点検してみた。
ポプラ社の「コミック版世界の伝記」は、背表紙にマンガ家の名前のほうが監修者よりも大きく出ていて珍しい。マンガ家にも紹介文がついている。
小学館の「はじめての日本の歴史」は、紹介文がついている。
コメント
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