レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

私にとっての10大名作マンガ

2006-05-06 14:59:05 | マンガ
10大というのはウソである。ただ景気がいいのでそう書いただけ。

行動喚起力を持った3大作品(年代順)
・池田理代子『ベルサイユのばら』72~73年
言わずと知れたヒット作。小学生のころに大ブームで、数人の友だちと「アンドレファンクラブ」を名乗っていた。名乗るだけで、ただ熱をいれて語っていただけだが。子供用の書き換えながらも、ツヴァイクの『悲劇の王妃』やらフランス革命の本やら読んで、史実と虚構の巧みな混ぜ合わせに感嘆した。中3~高校1のときにアニメ放映。このあと、某ファンクラブを知り入会し、それがきっかけでコミケの存在も知る。関係書を読みまくることも復活して、おかげで世界史でラクも出来た。
・青池保子『エロイカより愛をこめて』 76~88、95~
往年の名作。東西冷戦を背景にしているという点では歴史ロマンといえなくもない。ロンドン在住のグローリア伯爵、実は美術品泥棒「エロイカ」、美とロマンを愛する享楽家。ボン在住のフォン・デム・エーベルバッハ少佐、NATO情報部の「鉄のクラウス」、任務一筋の硬派男。この二人の仕事があちこちでぶつかって、時に手を組み、ときに対立しての奇妙な絡み合いのアクションコメディ。これについてはとてつもなく激しい愛憎があるが、それはまたにしておく。このマンガの影響で、スパイものや戦記ものナチものも守備範囲になった。それに、各国民のステレオタイプというものが大いに意識されたマンガなので、日本人論や○○人論、各国お国柄・国民性というものに興味を持つようになった。
・あずみ椋『緋色い剣(あかいつるぎ)』 85~93
SG企画 「GROUP」連載、全10巻。講談社版全7巻。
10世紀末、キリスト教化の波の押し寄せる北欧と、黄昏近づく神々の世界を絡めた壮大なヴァイキングロマン。これで私は北欧神話にハマった。神話から名称などを取ったマンガはよくあるが、これほど原典をしっかりと生かして、かつオリジナリティを織り込み、読み応えのある作品はめったにあるまい。
 
フェミニズムの点からも推薦の3大作品
・市川ジュン『陽の末裔』 85~89
時は大正、没落士族の娘の咲久子と、貧農の娘卯乃は、東京の紡績工場へ女工として働きに出る。咲久子は工場長の目にとまり養女となり、美貌と才知で社交界を席巻し、やがては華族の夫人として実業界へと乗り出す。一方、卯乃は、女たちの低い地位に疑問を感じ、記者となって闘う。
 タイトルから、「元始、女性は太陽であった」を連想した人は正解。大スケールのエンターテインメントとしても一級。
 学部3年のとき、「ロマン派の女性たち」のゼミに出ていて、文学というよりはフェミニズムに向いた内容だった。ちょうどそのときに、かつて別マで愛読していた作家のこの作品の総集編が出ているのを見つけたのはいいタイミングだった。
・武内直子『美少女戦士セーラームーン』 92~97
別枠で述べます。
・TONO『カルバニア物語』 95年ごろ?~連載中
 「ぱふ」の広告で「男装の公爵令嬢エキュー」のフレーズに注目して、当時2巻まで出ていたコミックスを買ったのだった。カルバニア王国、初の女王様タニアと、その乳姉妹のエキュー。頭のかたい議会のおやじどもと張り合い、友好国の王子と渡りあい、ときにはカンシャクもおこしながらしっかりと勤めにいそしむうら若い可憐な女王様。ドレスを嫌がって男装で暴れまわるエキューは、跡継ぎとしてやる気マンマン、しかし、彼女の性別を理由に跡目を奪おうと狙う身内もいるし、男色家として有名なもう一人の若い公爵に惚れられたり、女たちからも騒がれて、これもなにかと多難な身の上。
 美貌でも権力でも利用するしたたかさ、かつ、それらはただの偶然の生まれつきにすぎないことを自覚する謙虚さを備えた女たち。ひとそれぞれのやりかたを尊重して押し付けようとはしない独善のなさも好ましい。
 世界は架空だけど「剣と魔法」ではない。ドレスの世界は好きでもFTは好みでない私にはうってつけのジャンルでもある。

のんびり系
・川崎苑子『土曜日の絵本』 79~80
 この作家については、長く細くファンを続けてきた。85年で一旦執筆が止まり、93年にレディコミ誌「さくら」で復活、いまは「北村夏」の名前で「あおば出版」のソフト路線の雑誌で執筆。「週刊マーガレット」時代の代表作のうちで、この『土曜日の絵本』が数年前に文庫で出たのでこれを挙げておく。「風吹町」の4人の子供たちのひきおこす事件と彼らの成長の物語。笑えて泣ける。
 この作家についてはまた述べます。
・佐々木倫子『動物のお医者さん』 85~93
 いまは省略。実写ドラマになったのは一昨年でしたかね。

しかし、ここで挙げた作品を私自身が所持しているとも限らないあたりがナンである。でもお勧めはするのです。本棚にはなにしろ限りがあるもので。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする