Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

7/28(土)東京シティ・フィル/ティアラこうとう定期/高関健の意欲的なプログラム/マルタンの協奏曲と幸田浩子を迎えてマーラー交響曲第4番

2018年07月28日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第54回ティアラこうとう定期演奏会

2018年7月28日(土)14:00〜 ティアラこうとう 大ホール S席 1階 C列 14番 2,660円
指 揮:高関 健
フルート:竹山 愛*
オーボエ:本多啓佑*
クラリネット:山口真由*
ファゴット:皆神陽太*
ホルン:小林祐治*
トランペット:松木亜希*
トロンボーン:佐藤洋樹*
ティンパニ:目等貴士*
ソプラノ:幸田 浩子**
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
コンサートマスター:戸澤哲夫
【曲目】
マルタン:7つの管楽器とティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲*
マーラー:交響曲 第4番 ト長調**

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の「第54回ティアラこうとう定期演奏会」を聴く。このシリーズは定期会員になっているとはいうものの、年に4回しかないので中々イメージが掴みにくい。今回は2018/2019シーズンの2回目で、指揮は常任指揮者の高関 健さん。飄々としたお人柄でプレトークも面白くこなし、クラヲタ向けにマニアックなマーラーの解説をしていた。東京藝術大学指揮科の教授である。
 会場の「ティアラこうとう」は、東京都江東区の公会堂であるが、多目的ホールではあるがクラシック音楽のコンサートにも使用できるレベルであり、1228席の大ホールと140席の小ホールがある。東京シティ・フィルの定期演奏会は、もちろん大ホールの方で開催される。ステージ寄りの席2列を取り払っているので、私の座るC列は最前列のセンターブロック左寄りの好位置。どういうわけか、客席とステージが少し離れていて、しかもオーケストラがステージの奥の方のセットアップされるため、最前列の席でもコンサートマスターの位置からけっこう離れている。ステージも高くないので、オーケストラ全体が見渡せ、従って音もバランス良く聞こえるので気に入っている。ただし、音響は比較的デッドで、あまり響かず、残響も長くはない。

 今回のプログラムは、けっこうマニアックだ。前半はマルタンの「7つの管楽器とティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲」という、超レアな曲。ただし聴きやすく面白い曲だ。管楽器・打楽器と弦楽5部を分離させて協奏曲に仕立てたような構成。すなわち、7つの管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン)は各1名で、今回は指揮者を取り巻くように扇型に配置され、それぞれのパートの首席が演奏する。協奏曲のソリストが7名いるということになる。弦楽5部はその後方に配置され、さらに後方中央に独奏用ティンパニが配置されていた。打楽器(大太鼓、小太鼓、シンバル)は通常の位置である。
 マルタン(1890〜1974)はスイスのフランス語圏出身の近代〜現代の作曲家。本作は1949年の作であるが、近代風の作品である。曲が始まると、7つの管楽器がほぼ同等に扱われ、代わる代わるソロを吹き弦楽オーケストラと協奏する。音楽的にはとても分かりやすく、最前列で聴いていると、各楽器の音も弦楽器の後方にいる普段より明らかに明瞭になり(協奏曲だから当たり前ではあるが)、代わる代わるソロを受け持っていくので視覚的にも楽しい。ホルンだけがベルが後ろ向きになるので、音がくぐもって聞こえたのも妙にリアルで面白かった。
 曲自体は私もまったく知らずに初めて聴くので、演奏が良かったのどうかは正直いってよく分からないのだが、楽しかったのは確かだ。クラシック音楽の世界は実に奥深く、戦後に作られたこんなに面白い曲が埋もれているのである。こんな珍曲を紹介してくれた高関さんにBravo!を贈りたい。

 後半はマーラーの「交響曲 第4番」。第4楽章のソプラノ歌唱は、幸田浩子さんが受け持つ。この曲はマーラーの交響曲の中では最も小さな編成で書かれている。すなわち、ほぼ3管編成だが、金管はトランペット3とホルン4だけで、低音のトロンボーンとテューバがない。また、ソプラノ歌唱が入る第4楽章は、交響曲というよりはあたかもオーケストラ伴奏の歌曲のように静かで穏やかな曲想となる。初演が成功しなかったため度々改訂され、現在では最終稿が使われている。本日も最終稿での演奏なのだが、マーラー研究の得意な高関さんは、古い稿も参考にして、最終稿では削除されている部分を復活させたりするとか、しないとか。クラヲタの皆さんが喜びそうなネタだが、私のような素人にはサッパリ。もともとマーラーは苦手なので・・・・。
 第1楽章が始まると、音が澄んでいてとてもキレイなのに気が付く。弦楽の透明感、木管の自然な温もり、金管の柔らかさ・・・。歌謡的な親しみやすい主題を美しいサウンドで、翳りのない色合いで歌わせている。ホールの音響特性を味方に付けた演奏をしているように感じられた。
 第2楽章はスケルツォ。とぼけた諧謔性の音楽は人間味があって優しい。コンサートマスターの戸澤哲夫さんが、長2度高く調弦されたもう1台のヴァイオリンで、張りの強い独特の音色で悪魔的雰囲気?を醸し出している。
 第3楽章は緩徐楽章。マーラーの緩徐楽章は他の楽章との関連が感じられなくなるくらい、唐突に美しい旋律が出てくる。ヴァイオリンのアンサンブルがひたすらに美しい。高関さんのロマンティストぶりが表れている・・・・。
 第4楽章は完全にオーケストラ伴奏の歌曲の様相を呈する。幸田さんのソプラノ歌唱は、いつまでも清純で美しい。クセのない澄んだ声質は、別の言い方をすればとても可愛らしい。「天上の楽しい生活」を歌うのにも相応しい、天国的な(純粋な)清らかさの歌唱は、聴く者を和ませ、安らがせる効果もあるようだ。聴いていてるとほのぼのとした気分になってくる。コール・アングレとの掛け合いも長閑で素敵だった。
 マーラーの交響曲は、楽章間の関連性がなかなか理解し難く、この第4番も4つの楽章をバラバラに演奏しても何ら問題ないように感じてしまう。その辺りが苦手意識をもたらしているのだろう。しかしながら、今日の演奏はとても美しく、耳に心地よく響いた。こういうマーラーの演奏なら歓迎することもできそうに思った。

 ところで、「ティアラこうとう定期」の会員になったからか、先日、東京シティ・フィルから暑中見舞いのハガキが届いた。コンサートの告知などがまったく書かれていない、純粋な暑中見舞いである。画像を見れば分かるように、「コンサート会場でお会い出来る事を楽しみにしています♪ Flute 竹山 愛」と手書きで書かれていた。協奏曲でソロを吹いていた人である。最前列だから目の前で見ていて、ああこの人かと。はて、知り合いだったっけ? どう考えてもどこかでお会いした記憶がない・・・・。そういうわけで、終演後、竹山さんにご挨拶。暑中見舞いは団員さんが手分けして書いたとのことであった。なんだ、偶然だったか。でも不思議なご縁だから、記念写真を撮らせていただいた。東京シティ・フィルの皆さんも、手作り感覚で頑張っているようである。


 ← 読み終わりましたら、クリックお願いします。


★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★

当ブログの人気ページをご紹介します。
↓コチラのバナーをクリックしてください。↓







コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 7/27(金)新日本フィル/トパー... | トップ | 8/1(水)中桐 望サロン・コンサ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

クラシックコンサート」カテゴリの最新記事