ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

小磯とゆかりの画家たち ~神戸市立小磯記念美術館 ~

2015-06-28 22:57:43 | アート

 神戸市には二つの人工島があります。1つ目のポートアイランドの誕生が1981年、そして今回訪れた六甲アイランドが1992年です。総面積580ヘクタール、完成までに20年! だそうです。凄いですね。計画的に作られた街らしく、近代的な建物と豊かな緑が見事に調和したとっても居心地のいいところです。外資の施設やインターナショナルスクールもあるので外国人の姿もよく目にしますし、最先端で、インターナショナルで、モダンなまさに神戸って感じの空間ですね。ここに、神戸のダンディズムを象徴するような洋画家、小磯良平の美術館があります。

  空調施設更新のため3か月ほど休館したあと4月に再開、満を持しての「美術館再開特別企画」だそうです。初めて来ましたが、左右にウイングをつけた回廊式の建物がまずきれいです。中庭に、移築された小磯良平のアトリエがあります。神戸でよく見かける洋館風のまいっちゃうくらいオシャレな建物です。画伯お気にいりのグリーンがたまりません。使っていた絵の具やらモチーフの小道具などを置いて、可能な限り正確に再現されています。私は時間が合わず聞けませんでしたが、1日2回11時と15時にスタッフの方のアトリエ解説があります。椅子がふつうの事務所で使うようなキャスター付きの地味なグレーのものだったのが意外でした。でも、棚とかはヨーロッパ風でさすがにオシャレでした。なんか、オシャレしか言ってないし(^^;

 

画伯こだわりのグリーンのフレームが眩しい。

 別の美術館で小磯画伯の作品は何度か見たことがありますが、キレイだけどもおとなしすぎてインパクトにかける、という印象でした(素人のくせに失礼なコメントをすみません)。それが、ここで改めて見て認識がまったく変わりました。良いですね! そして、この人は骨の髄まで神戸の人なんだな、と。神戸を囲むなだらかな山のような大らかさを持つ画面はあくまでも柔らかな光に満ちて、外国の匂いが染み込んだ粋さが漂います。すっきりとした品の良さがものすごーくこの街に馴染むんですね。たぶん、同じような港町、横浜で見ても違うと思います。西の潤いと気温のせいでしょうか? チラシにも出てますが、自画像なんてちょっと嫌味なくらいダンディじゃないですか?(笑)。旧三田九鬼藩の旧家に生まれだそうですが、究極のおぼっちゃまはものすごく性格がいい、というのを地で行ってる感じです。余談ですが、小磯画伯も魁夷画伯と同じ、神戸第二中学出身で、東京美術大学に進学しています。小磯画伯の方が5つほどお兄さんですし、洋画家と日本画家という違いがありますので、接点はなかったようですけども、似たような時期に二人が神戸にいたのは興味深いですね。

 今回の展覧会、小磯画伯に関しては、初期の自画像から晩年の『御影の風景』までをまんべんなく網羅してあるので、画伯の全体像が見渡せます。小磯画伯と言えば美しい女性の肖像画というイメージですが、中にはセザンヌぽい静物画とかあったりして意外でした。初期の繊細な感じからしたら、最後の『御影~』とかだいぶ違います。キュビズムぽい、線より面、みたいな対象をざっくり固まりでとらえている感じ(素人の言うことですのであくまで参考程度にお聞き流しください)。

 とはいえ印象に残るのは肖像画です。モデルの内面までも表現する描写力はさすがです。外国人はちゃんと外国人の匂いを感じるのです。2次元でそれができるってすごいですね。

 ゆかりの画家たちに関しては、私はほとんど存じ上げない方ばかりだったので、とても新鮮でした。共通しているのはみなさんとても人柄が良さそうなこと。暗い色調の絵でも、陰惨な感じがなかったです。日曜の昼間にのんびり美しい絵を味わう、至福の時でした。

 小磯美術館通りの並木道。少し前までは曇っていたのに、ここに来たら天気までよくなりました。小磯パワーか!? カッコイイ~

 こんな素敵な場所がたったの500円! ミュージアムカードを買えば、1500円で1年間収蔵品展、特別展に何度でも入場できるそうですから神戸市もふとっぱらです。しかも日曜日なのにとても空いていました。足場が悪いのが難点といえるでしょうか。地元の人が羨ましいです。今日、ベビーカーを押して、さらに小さなお子さんを2人連れた女性が鑑賞しているのを見かけましたが、そういう風景が似合う美術館です。特別展は始まったばかり。天気のいい日に足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東山魁夷をめぐる旅 6 ~... | トップ | 超絶刺繍II ~ 神戸ファッ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アート」カテゴリの最新記事