ぶらっとJAPAN

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情熱と想像のコンチェルト【逸翁美術館】

2016-09-11 22:03:44 | アート

 

9月になって少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。

芸術の秋にふさわしく、あちこちの美術館で興味深い催しが始まっています。

というわけで久しぶりに逸翁美術館に行ってきました。関西の大立者・小林一三の個人コレクションを中心とした美術館ですが、今回は、20世紀の洋画をテーマに展示されています。

宝塚歌劇の父にふさわしく、花や女性の肖像画など、品があって華やかな作品が目につきました。

まず入り口に小林翁の肖像画が展示されていて、ご本人の雰囲気をよく伝えていると思ったら、さすがの小磯良平画伯の作品です。親交が深かったのでしょうか、逸翁コレクション以外のものも含め、作品の展示が一番多かったです。清潔で凛とした画風は画伯ならでは。

ピカソが一点だけ出ていました。闘牛の黒コンテで、牛とマタドールの間の緊迫した空気が簡潔な線と絶妙の構図で表現されていて、こちらも逸品。娘の鑑定書きみたいなのもついていて、こういうものを所蔵しているところが玄人だなって気がします(笑)。

エコールドパリ時代にパリで活躍した荻須高徳の絵があって、彼の描くパリの街は、ごつごつした壁の風合いといい、色の塩梅といい、佐伯雄三っぽいなと思っていたら、やはり佐伯画伯と同じく初期はユトリロやヴラマンクの影響を受けたパリの街の絵を描いたそうで、もちろん本人とも交流があり、彼の早すぎる死にも立ち会ったとか(以上、ウィキペディア情報)。

それにしても、パリの街の壁ってそんなに魅力的なんでしょうか。一度見てみたいものです。

今回とくに印象に残ったのが熊谷守一。チラシの左下の絵の方です。帰って調べたら『ねむりねこ』の作者でした。興味をひかれたのは、絵もさることながら、庭と言う小宇宙で十分だからと、晩年30年間ほとんど外出をせず制作に打ち込んだというその偏屈ぶり(失礼^^;)です。30年って!

たまたま正岡子規の小説を読んだばかりなので、同じ人がいた! という驚きもあったのですが、ただ、子規はそうせざるを得ない状況であったのに対し、この方は自らの意志で外出しなかったわけですから、まあ、スゴイですよね。東京の豊島区に美術館があるようなので、いつか行ってみたいです。

 

1980-90年代になると身近過ぎてあまり興味が湧きませんでしたが、佐治敬三に誘われて三和銀行からサントリーの宣伝部長になった山崎隆夫の『東京タワー』は印象に残りました。

都心から外れているし、駅からも遠いという難点はありますが、良い絵がいっぱいあるのに閑散としているのはもったいないですね。展示は始まったばかりで、今後、小磯良平記念美術館のキュレーターを招いての講演会なども行われるようですから、この時代の日本洋画家に興味のある方にはお勧めの展覧会です

コメント (2)
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