葛飾北斎の娘・応為のお話。
私はこの方の絵を全く観たことがなかったのですが、読み進めて行くうちに気になって、調べてみました。
確認されている点数は少ないですが、「江戸のレンブラント」とも呼ばれる方だそうで、その陰影のある風景は何とも魅力的です。また『三曲合奏図』の艶やかな女性たちの描写も素晴らしく本物が観てみたいと思いました。
生没年不詳で謎も多い方ですが、物語では、晩年の北斎の作品は娘と共作という設定になっています。これは史実でもほぼ間違いないようです。小布施のお寺にある天井画も共作として記述されていて、それが本当ならちょっと衝撃的です。
実生活では決して恵まれていなかったようですが、画業を貫き通した一生はやはり幸福であったというべきなのでしょうか。
考えさせられる一冊でした。