mardi brabo

手作りとおやつと雑貨とフランスを愛する日々。
火曜(mardi)は休日、何しよう。

ベルギーでタンタンに出会う

2007年08月26日 | voyage(旅)
 この後ろ姿は、誰あろう。ムッシュ・タンタンですっ!

 もう旅も、あと数時間を残すのみとなっていました。
 時計は3時になろうとしています。5時の列車で空港に向かうので、4時半にはホテルに戻らなければなりません。
 最後の目的地は、「マンガ博物館」です。

 ベルギーは、『タンタン』に代表されるように、マンガ大国なのです。
 「アキバ系」の兄ちゃんが存在するのも、その辺に原因があると、ブラボーは考えています。

 「マンガ博物館」は、歩いて行ける距離だけども、時間もない上、少し場末感の漂う場所にあります。
 「ベルギーなのにスペインワインを飲んじったよ、ウシシ」と、先程のランチで飲んだワインで、明らかに「良い調子」の連れ(くるくる)を「サッサと歩きなさーい!」と引っぱりながら、目を吊り上げて歩くわたくし。

 ようやく着いた「マンガ博物館」でしたが、正直『タンタン』以外、ベルギーのマンガなんて、そんな知ってるわけないんですよねー。

 もの凄く古い『タンタン』のお宝本とか、タンタンやスノーイーの顔(絵柄)の変遷表とか、見て楽しいものもありましたが、割とアッサリと、見終わってしまいました。
      

 「ミュージアムショップを見てもう帰ろう」と言う連れ(くるくる)に、「ちょっと待って。あの辺りの、建物の写真を撮って来るから」と言いました。

 この博物館の建物は、ベルギー・アールヌーボーの巨匠「オルタ」の作品なので、ここへ来たからには、建物も鑑賞しなければならないのです。
     

 ところが、次の瞬間、ブラボーの背後から「ブ、ブラボーちゃん~・・・タンタンが居る~!」と、上ずった連れ(くるくる)の声が聞こえて来ました。

 「え~?」と振り向くと、なんと、博物館の受付に、スノーイーを抱いた、タンタンが居るではありませんかっ!
 思わず、建物の事など忘れ去り、走り出していました。

 「ム、ムッシュ・タンタン!あなたの写真を撮っても良いですかあ~?」と声を掛けると、タンタンは、「もちろん!」と言ってくれました。
 
 「ささ、くるくるさん。大好きなタンタンと一緒に写って頂きなさい!」と連れ(くるくる)を促し、シャッターを押し、「ありがとうございましたー!」とお礼を言って、立ち去りました。

 一瞬、「え?もう良いの?」という顔をタンタンがしたのですが、どうにも、他人様に向けて、何枚も写真を撮るというのは、失礼な気がして、一枚きりにしたのです。

 でも後で冷静になってみると、彼は、その為にそこに居るんだよな。遠慮の要らない、客寄せパンダじゃん。

 ブラボーの妹なんて、『タンタン』を勝手に「小さな男の子の冒険の話」だと思い込んでいたらしく、写真を見た瞬間に「なに、このコスプレのおっさんは。ぬいぐるみまで抱いて、気色わりぃー」とまで言っていました。

 一枚きりの写真は、くるくるとのツーショットだし、興奮のあまり手ぶれしているので、ここではお見せ出来ませんが、彼は、美しい青い目の青年でしたよ。

 ディズニーランドに行った事のないブラボーには、どうしてみんなが、人が入ってると分かり切っているミッキーマウスに会って喜ぶのか疑問でしたが、ちょっと分かった気がしました。

 こうして、短いようで長かった、ブラボーとくるくるの旅は終わりを告げたのでした。

オランダの自転車

2007年07月15日 | voyage(旅)
 カッチョ良いです、オランダの自転車。
 走っていても、止めてあっても絵になるイカしたヤツら。

 アムステルダムでは、市街地は一般車両の乗り入れは制限されているそうです。
 だから自転車が多い。
 そして、『低い国』と呼ばれる通り、土地にアップダウンが少ないので、自転車移動には持って来いなのだそうです。
 もちろん、環境問題の点から見ても、健康の面から見ても、言う事なしです。
 列車も地下鉄も船も、自転車を乗せる事のできるシステムでバックアップです!

 それにしても、オランダでは人口よりも自転車の数の方が多いとか。
 それは、盗まれる事も多いという事情もあるようですが、通勤通学などの普段遣い用と、休日のお出かけ用として自転車を2台持っている人が沢山いるからなんだそうです。どれだけ自転車好きなんでしょう。

 道路には車道と歩道の間に自転車道があります。

 人間というのは、ゴツゴツした道と滑らかな道が目の前にあったとしたら、思わず滑らかな方へと歩み寄ってしまうものだと思いませんか?
 しかし、コレが大変な罠なのです。

 オランダでは、歩道は石畳。自転車道はアスファルトです。
 ほんの一瞬、気を抜いて、アスファルトの方へと足を踏み入れてしまった瞬間に、チリンチリンチリンチリンチリ~ン!とけたたましいベルの音が聞こえ、猛スピードの自転車が突進して来るのです。

 ひえぇぇぇ~、と声にならない悲鳴を上げながら、慌てて石畳の方へ這い上がります。
 何度、これをやらかしてしまった事でしょう。

 しかも、道路の右側を歩いている時が要注意。
 なぜなら、日本だと、この場合、車は前からやって来ます。道を渡る場合は右側から。しかし、オランダは逆。
 自転車も自動車と同様に一方通行なので、自転車は背後から近付いて来るわけです。まず左を確認する、この感覚がなかなか身に付かないのです。

 しかし、この恐怖を何度か繰り返すと、ちゃんと歩道を歩いているのに、時々、ハッとして、バッと後ろを振り返って、自転車の有無を確認してしまうようになります。日本に戻ってもなお・・・。
    
 自転車の中には、この写真のように、ハンドルと前輪との間に巨大な箱が付いたものも結構見かけました。この箱の中に、大量の花を積んで走っていた人、また、この写真でも確認出来ますが、腰を掛ける所と、シートベルトまで付いています。ここに2人の子供を乗せて、爆走しているお父さんにも引かれそうになりました。

 地元岡山で、自転車に乗るブラボーを見かけた人は、何故だか、異口同音に「すごいスピードで走っていた」と言います。何故でしょう、不思議です。普通なのに。
 しかし、この街で自転車を乗りこなすのは、大阪で車を運転するのと同じくらい難しそうだ、とブラボーは思いました。

オランダのクーポン

2007年07月12日 | voyage(旅)
 この写真、何だと思います?  
 なんと、クーポンです。  

 アムスの『ホテル亜熱帯』の入口付近に置かれていました。
 専用ホルダーまであるのですね。
 オランダ中の美術館や施設から、レストランやあやしいお店にいたるまで、同じ形のカードになっているのです。   
   


 旅に出ると、思わず「紙もの」を持って帰ってしまう、という方、結構多いのではないでしょうか?
 ブラボーもそんな一人でした。
 「デザインの勉強にもなるし」なんて言うとカッチョ良いですが、無料の配布物に外国語が書いてあったりすると、何だかお洒落な気がして、ついつい手を出してしまうのです。

 しかし、「紙もの」は重い。
 一枚一枚は軽くても、溜まると「本一冊分」くらいの重さになってしまう事もあります。
 「タ、タダのものでこんな重い事に~」と最後に後悔するものの捨てられず、大切に取って置くものの、結局見直したりはしないんだよね~。

 今回も、思わず「バババババッ」と音が聞こえて来るくらいの勢いで、取ってしまった。手には「トランプか!」と突っ込みたくなる様な束ができています。

 しかし、それからが違いました!

 先に気がついたのは、文字を文字として、ちゃんと読もうと試みる連れ(くるくる)でした。
 裏を見ると「ご来店の方に、オリジナルポストカードプレゼント」などと書かれているではありませんか。
 早速、取って来たカードを全て読み取り、これから行く可能性のある施設やショップのカードをお財布に入れました。

 例えば、ゴッホ美術館ではこんな風でした。
 ゴッホ美術館のミュージアムショップで、10ユーロ以上買物をしたら、ポストカードを一枚プレゼントなのです。
 ブラボーは、ゴッホ美術館も2度目なので、前回思い切りブレークして済んでおり、別に何も買いませんでした。
 しかし、ゴッホ美術館初心者の連れ(くるくる)は、沢山のグッズを抱えてレジに向かおうとしております。

 「ちょいと待たれよ!」止めるブラボー。
 
 抱えた商品をザッと計算すると、20ユーロ以上あります。すかさず、10ユーロずつに分け、二人で別々のレジに並び、ポストカードを2枚ゲットする事にしました。
 オランダくんだりまで来て「お一人さま1個限りの特売品を、家族総出で買いに行く状態」であります。

 すると、どうでしょう。
 ポストカードは、クーポン用の特別のものではなく、普通にミュージアムショップに売られている、一枚1ユーロ(168円)もするポストカードをプレゼント、なのでした。
 くるくるの商品の中には、ポストカードがあったので、一枚分無料にしてくれました。ブラボーの方には無かったので、「好きなのを一枚選んで持って帰れ」と言われました。しかもレジを済ませた後にです。
 真面目な日本人のブラボーは、一枚選んだ後、そのレジのお兄ちゃんに「コレ、選んだからね~」と声を掛けてショップを出ましたが、取り放題じゃん、あんなの。

 そんな風に、その後も数カ所でクーポンを提示し、特典をゲットしました。

 夢見るように、外国語の書かれた「紙もの」を集めてた時代は過ぎ、「実用」の時代へ・・・。

 自分の中の「オバハン度数」の成長を垣間みさせてくれた、オランダのクーポンでした。

クレラーミュラー美術館から帰る

2007年07月10日 | voyage(旅)
 チュンチュン、チ、チチチチッ・・・。

 「録音テープ流してるんじゃない?」と疑うほどに鳥のさえずりが聞こえて来る森の中です。

 まず最初に向かったのは、ゴッホの絵!ではなく、カフェ。
 とても暑い日でしたが、濃い緑の中で食べるのは美味しかったー!

 ゴッホはもちろん、ルドンやピカソ、モンドリアンなど、蒼々たる絵画が楽しめるのです。この感動は、文章では表せません。どうぞ、行って観て感じて頂きたい!

 照明が、明るくなったり暗くなったりするので、「蛍光灯が切れそうなのか?」と思ったら、自然光でした。前回は冬の雨の日だったので気がつきませんでした。

   

 庭には、壮大な敷地の中に、彫刻などが点在しており、ここを一周りするだけでも、結構なハイキングになる感じです。野生の自然は苦手なブラボーですが、こういう管理された自然は大歓迎。

 マイナスイオンをいっぱいに身体に溜め込んで、私たちは帰路についたのでした。

 帰りのバスは、一時間に一本。毎時18分にやって来るようです。

 プラス2ユーロのバスチケットは「国立公園の入場料」という事にしたので、帰りは一人6ユーロだと思っていたら、やっぱりプラス2ユーロでした。

 3番のバスは、オッテルローから国立公園の中をグルグルと巡回しているようで、2ユーロはそのバスの運賃のようですが、「だったら、国立公園の入場料は?」という疑問が残りました。まあ、別に良いけどさ。言われた金額を払うしかない。
 
 そして、やはり、オッテルローのバス停で降ろされ、108番のバスが来るのを待って、エデ・ワーゲニンゲン駅まで戻りました。

 アムステルダムに戻る列車は、20分も遅れましたが、無事に座る事もでき、冷房も良く効いていて「やれやれ、快適快適」。
 このまま座っていさえすれば、中央駅に戻れるのです。

 ところが、半分ほど行った駅で、多くの人が降りて行きました。
 その人達が、互いに会話を交わしているので「いやあ、すごい団体さんだったんだなあ」と眺めておりました。

 ところが、一人で歩いて来た、推定年齢23歳、痩せた身体に、クルクルの金髪、丸い銀縁メガネのお兄ちゃんが、車内に残っている数人に向かって「この列車はここまでだよ。」と大きな声で教えてくれました。

 「ええー!なんちゅうことー!」
 突然の車内アナウンスに、客同士が確認をし合っていただけだったんですね。

 頼るもののない私たちは、ストーカーのようにそのお兄ちゃんの後ろを付いて行きました。
 すると、お兄ちゃんは「どこへ行くの?」と聞いてくれて「アムステルダム」と答えると、ホームに流れる乗り換え案内のアナウンスを聞いて、私たちが行くべきホームまで教えてくれました。

 乗り換えた列車は、ギュウギュウで、エアコンも全く効いておらず、不快指数120%。アムスまでの残りの旅程は、とてもとても長く感じました。
 
 しかし、彼が居なければ、私たちはこの列車に乗る事もできず、いつアムスに戻れたのかも分かりませんでした。

 日本人だと、まず、そのような行動をしないタイプの青年でした。

 「私も日本で、こういう事があったら、彼のように、臆せず、人に声を掛けられる人間になるっ!」と決意を口にする連れ(くるくる)。本当にありがとう。

 素晴らしい作品と共に、親切なオランダの人たちの顔が浮かんで来る、長くて楽しい一日でした。

クレラーミュラー美術館へ行く 2

2007年07月09日 | voyage(旅)
 エデ・ワーゲニンゲン駅は周りに何もありません。
 世界的な名画のあるクレラーミュラー美術館があるというのに、そこへ行く為のインフォメーションなんて、どこにも出ていないのです。

 「あの辺のバス乗り場でバスに乗った気がする」というブラボーの曖昧な記憶を頼りに乗り場に行ってみましたが、何も手がかりがありません。
 時間待ちをしていたバスの運転手さんをつかまえて聞いてみると、ブラボーの記憶は正しかったようです。
 だからどうした、って感じですけど。
 正確には、110番乗り場から108番というバスに乗ります。一時間に1~2本。

 乗り場に行くと、推定年齢87歳くらいのおばあちゃんが待っておられました。
 話しかけてみたけれど、オランダ語以外は分からない様子。しかし、ベラベラと何か喋っております。
 仕方がないので、「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」の正しい発音を教えてもらいました。
 難しいです、オランダ語。

 108番のバスがやって来ました。
 「クレラーミュラーへ行きたい」と告げると、6ユーロと2ユーロに分かれたチケットを渡されました。
 「きっと、国立公園の入場料だ」という事にしました。
 前回は、確か、そのまま乗っていたら、美術館の前まで行ったと記憶していたのですが、変な場所でいきなり「ここで降りろ」と言われました。 どうも、バスを乗り換えるようなのです。
 
 一緒に降りた「言葉を分かっていそうな様子の人達」が歩き始めたので、ヨロヨロとその人達の後に付いて行こうとしていたら、プップッ!とクラクションが聞こえ、振り返ると、先ほどのバスの運転手さんが「ここ!ここ!」って感じで、今降りたバス停を指差しています。
 走って戻って「ここ?」と指差すと、ウンウンとうなずいて、そしてそのバスは走り出しました。
 見ると、駅で一緒だったおばあちゃんが、バスの中から、一生懸命に手を振ってくれていました。しかし、折角教えてもらった言葉は出て来ず、手を振るのみ。

 そのままのバス停で待っていると、すぐに「3番」というバスがやって来ました。
 「クレラーミュラー美術館へ行きますか」と聞くと、「行く」というので乗り込みました。
 走り始めると、先ほど一緒に降りた人達は、まだその辺りを歩いていました。

 つまりは、こういう事のようです。
 降りたバス停は「オッテルロー(Otterlo)」で、少し歩くと、国立公園の入口があります。ここで無料貸し自転車を借りる事ができるらしく、そうすれば、オランダの森の中をカッチョ良くサイクリングする事ができたのでした。

 美術館までは、約15分との事ですが、バスに乗った感じだと、割と登り坂続きだった気もするのですが、どうなのでしょう。また、「フットブレーキ」なので、慣れるまでは難しい、という噂も聞きました。
 しかし、季節やお天気が良ければ、やってみたいものです。森のサイクリング!
    オッテルローのバス停と3番のバス。バスの奥が森の入口。


 一方、私たちは、エアコンの効いたバスで、CO2を排出しながら、5分ほどで美術館前のバス停に到着。
 遂に、クレラーミュラー美術館の門をくぐったのでありました!
   
                        またまた、つづく

クレラーミュラー美術館へ行く 1

2007年07月07日 | voyage(旅)
 クレラーミュラー美術館へ行く事は、この旅の最大の目標にして、イベントだったかも知れません。
 とはいえ、ブラボーは、以前一度、訪れた事があります。

 最近、えらく「モネ」づいていたブラボーですが、実は一番好きなのはゴッホ。
 フランスで、初めて一人で冒険の小旅行に出かけたのも、ゴッホ終焉の地、オーベール・シュル・オワーズでした。お墓参りをする為です。有名なあの絵の教会もそのまま残っていて、さむさむが浮くくらいです。
 そんな、ゴッホ好きなブラボーですので、英語が苦手でも、オランダ語なんてサッパリピーマンでも、行くしかなかったのです。クレラーミュラー。

 そして、行った事のあるブラボーが「まあ、行けない事はないと思うよ」と言ったものだから、抱えた宿題は早く済ませてしまいたい性格の連れ(くるくる)は、「じゃあ、アムスに着いたら、即刻、クレラーミュラーへGOー!」と声を上げたのです。
 「最大の目標にして、イベント」を「宿題」と言ってしまうのは何ですが。

 しかし、行った経験はあるものの、何しろ8年くらい前の話です。記憶は不確か。
 その上、行った事があるという「甘え」から、殆ど調べてもおりませんでした。
 前回は確か、中央駅で、往復切符とバスチケット、国立公園の入場券がセットになったものを売っていた、と記憶していたのです。ですから、チケットの窓口に行って「クレラーミュラー美術館に行きたい」と言いさえすれば、相手は全て分かっている、と高をくくっていたわけです。

 ところが、「クレラーミュラー美術館に行きたい」と告げたら、「それは、どこの駅で降りるのか」と窓口の女性に聞き返されてしまいました。
 「えーっと、えーっと、エーデワー…ニンゲン!」

 記憶は不確か。しかし、「ニンゲン」がついたと思い出して、言ってみたら通じました。正確には「エデ・ワーゲニンゲン駅」です。
 
 で、「その駅までの往復チケットを2枚!」と言って買うと、「あと2分後に出発よ」と言われました。「え!何番乗り場ですか?」と聞いたら、即座に「何番!」(かは覚えておりません)と答えてくれて、「GO!」と言われたので、思わず走り出してしまいました。

 2分しか無いと言われた瞬間に諦めたのに、人間とは不思議なものです。「GO!」と言われたら、走る。
 ホームに駆け上がると、列車が止まって居て、取り敢えず乗り込むと、すぐに出発しました。間に合っちゃいました。
 8年前は、時刻表も調べ、30分以上前にホームに行って、何度も列車に間違いがないかを確認して乗ったというのに、この違い。

 しかし、本当にこの列車で良いのかという確信は全くないのです。
 「今さっき、車内アナウンスで「ニンゲン」って聞こえた気がする!」と連れ(くるくる)が言いだしたので、まだ40分ほどしか乗っていなかったけど、急に不安になって、その駅で乗って来た女性に「この駅は何ですか」と聞いてみました。

 「ユトレヒト」でした。ミッフィーちゃんの生まれ故郷です。
 「何だ、ニンゲンじゃないじゃん」とホッとして座り直すと、尋ねた女性が「どこへ行きたいの?」と聞いて来ました。「エデ・ワーゲニンゲンです」」と答えると「じゃ、次の駅よ」と教えてくれました。
 その瞬間に、同じく今の駅から乗って来た若い女性が、「違う!次の次よ!」と訂正してくれました。ずっとイヤホンで音楽を聴いて知らん顔のように見えたのに。聞いてたんだ。

 そして、アムステルダムから1時間で、エデ・ワーゲニンゲンに到着。
 着いた事は分かっていましたが、列車が止まってから立ち上がれば良いと思っていたのです。ところが、いつまでも立ち上がらないと心配してくれたらしく、「着いたわよ!」と呼びに来てくれた女性が居ました。
 さっきのやり取りに全然参加していない「こんな人、どこに座っていたんだ?」という伏兵です。車両中の人達が、頼りない日本人の動向に注目していたのですね。
 みんな、優すぃ~。

 こうして、沢山の人に助けられて、私たちは無事に駅に降り立ったのでした。

                             つづく。

パリでグラチュイ

2007年06月29日 | voyage(旅)
 今回、パリは一日しかないので、買物に集中したいブラボーは、一人で行動するつもりでした。

 パリが一日のみとなったは、「私は市立近代美術館で、デュフィを観る事以外、パリでは何もする事がない!」と、あなたこそ一人旅をしなさい、という協調性の無い連れ(くるくる)が、言い放ったからです。

 パリ市立近代美術館とは、パリ万博の時に東京館となった建物で、ラウル・デュフィの『電気の妖精』という絵は、その折に描かれたそうです(と聞いた気がする)。
 一つの部屋の、幅60メートルの壁一面、高さ10メートルもある天井までを埋め尽くす、巨大な青い絵。部屋に入ると、絵に包み込まれたような感覚になり、それはそれは、圧巻なのです。

 13年前、フラリと市立近代美術館を訪れたブラボーは、この絵に出会う事が出来ました。

 ところが、その後、この美術館は「工事のため」と、永い永い閉館期間へと入ってしまいました。この工事期間は、見るたびに延長されており、要するに「放置」されていたのだとしか思えない状態でありました。

 「もう一度観たいな」と、その後2度も訪れましたが「まだ工事中」が続き、しかし工事されている様子も無く、どんどん「廃虚化」していたのです。
 壁にはスプレーで落書き。ゴミが散乱し、居るのはスケボー小僧達。
 建物が、ギリシャ神殿風(なぜそれが東京館だったのかとても不思議)で、巨大なので、廃虚になると、とてもコワい。

 しかし、もう、工事期間は終了したようです!
 ずっと「この絵が観てみたい」と言っていた連れ(くるくる)が、立ち上がりました!

 ところが、パリに到着した時から「ね~ブラボーちゃん、一緒に行こうよー、一緒に行こうよー。」と呪文のように言い続け、根負けしたブラボーは、再び市立美術館へと向かったのです。

 美術館は開いていました。しかし、周囲は落書きもゴミもそのままです。
 パリ市、財政難なんでしょうか・・・。

 中に入ると、正面にマチスの『ダンス』!吸い込まれるように近付きましたが、お金を払っていません。チケットブースが見当たらなかったのです。
 つまみ出されるのを恐れながら歩いていたら、止められて「荷物を預けろ」と言われました。
 そして、荷物係のマダムに「どこでチケットを買えば良いのですか?」と聞いたら、一言「gratuit!」と言われました。
 「グハチュイ、グハチュイ、なんだっけ」。錆び付いた頭の引き出しを何とか引き出し、単語を見つけました。グラチュイ、無料だっ!

 その後、歩いてもデュフィが見当たらないので、尋ねてみると「今週はお休み」と言われました。くるくる、ショーーーッック!

 一度観ているので、余裕のブラボーは「マチスが無料で観れたから良いじゃん」。

 その後、ブラボーは、本来の目的を達成するべく、まずはデパートへと向かいました。しかし、やはり付いて来る連れ(くるくる)。

 本売場で、ふと見ると、そこには20冊近くの本を抱えた連れ(くるくる)の姿が・・・。
 ブラボーの10倍、買物しとるやんっ!

 でも良かった。ホッとしました。他の楽しみが見つかって。
 何しろ、「唯一の目的」が果たせなかったのだから・・・。

 しかし、ブラボーは疑っています。『電気の妖精は』果たして存在するのでしょうか。「見せられない状態」になっているのではないのでしょうか。
 観光客なら、改めて「来週」に来る事はまずないでしょうからね。

 「最近観た」という方がいらっしゃったら、是非、ご一報ください。

朝食込み

2007年06月26日 | voyage(旅)
 「ホテルには朝食が付いているものだと思っていた。」と言うのは、起き抜けでも、たっぷりとお腹に収容する事ができる連れ(くるくる)。

 いえいえ、そんな事はございません!
 ブラボーは、パックツアーのホテル以外で、朝食込みだった事は一度もないのです。パリでもオランダでもっ!です。
 そして、パリでの朝食は、大体、クロワッサンとミニバゲット、それにコーヒーかカフェ・オ・レか紅茶かココア。それだけで、千円以上するのです!
 「ジュースはどう?」と親切に聞かれて、うっかり「ウイ」と答えてしまったら、別料金だった事もありました。

 なのに、今回のホテルは、3つとも「朝食込み」です!
 
 予約表の「朝食込み」の文字をブラボーは、何度も見直し、確認しました。
 それでも不安なので、チェックインの時に、その予約表を見せますが、「ここの日本語は「朝食込み」って書いてあるんだけど、朝食は込みなんですよねっ!」とシツコク確認します。

 初めて一人で旅行した時、予約の際に送られて来たファックスには「朝食はサービスするわ」と、オーナーの直筆で書いてあったのですが、チェックアウトの際、フロントの男性にはソレが伝わっておらず、料金が追加されたのです。
 そのファックスは、部屋に置いて来ていたし、若かったもので、言いだす勇気も持てず、黙って支払った、と言う事があったのです。

 身も心もすっかり「オバハン」となったブラボーは、もうそんな甘いミスは致しません!

 駅前ホテル故の、心すさむ雰囲気もありますが、朝食が付いているのも、駅前ホテル故でしょうか。ビジネスホテル的に利用される機会も多いでしょうから。
 
 そして、どのホテルも朝食はとても美味しかったのです!

 パンが特に美味しかったのは、やはり、パリ。
  
 クロワッサンも、ミニバゲットも「出来立ての美味しさ」で、その他にパン・オ・レザン、パン・オ・ショコラ、ショーソン・オ・ポムなども選べました。
 ここは、ジュースもオレンジとグレープフルーツがあり、ヨーグルト、ゼリー、チーズ、シリアル、ジャムやハチミツも豊富にありました。

 一番、種類が豊富だったのは、アムステルダム。
   
 
 
 胚芽パンや、ライ麦パンなど、色々あって、ハムも3種類もあり、キュウリとトマトもあるので、ちょっとしたサンドイッチを作る事ができます。
 珍しかったのが、ゆで卵。並んだ姿も可愛かったです。
 飲み物は、エスプレッソマシーンで、スイッチ一つで、コーヒーはもちろん、カプチーノもココア入りのコーヒーも選べるのです。

 ブリュッセルのホテルが、種類としては一番質素でしたが、ここでは、パンをトーストする事ができました。
   
 パリパリのクロワッサンやバゲットはもちろん好きですが、焼き立てのトーストも好き。一週間、生パンを食べて来たので、久しぶりにトーストが嬉しかったのです。

 ありがたいな、朝食。
 「朝、きちんと食べる」これはとっても大切な事ですもんね。

 しかし、パリのホテルの所で書いた通り、パリでは2日目の朝食を食べる事が出来ませんでした。
 「その分、負かりまへんか?」と言えるまでには、ブラボーの「オバハン修行」もまだまだなようです。

ブリュッセルのホテル 2

2007年06月23日 | voyage(旅)
 どうしてベッドの写真が2枚あるかと言うと。
 なんと、131号室は、最大4人も泊まれる部屋だったのです。
 ダブルベッドが1つ、シングルベッドが2つ。両親と子供2人って感じでしょうか。
 
 広さも充分あったので、「ウォーッ!」って感じで、写真を撮ったり、荷物を広げかけた時、ブラボーの心にふと、
不安が過りました。「コレって、間違いなんじゃないのか?」

 4階に辿り着いた時、ちょうどベッドメーキングが出来上がって、係の人が出て来た所でした。それで、扉が開いていたので鍵を使わずに、部屋に入ったのです。
 カードキーですから、そのカードに131と書いてあるわけでもありません。
 ブラボーは、一旦外に出て扉を閉め、改めてそのキーを使って扉を開けてみました。開きましたっ!
 「ああ、やっぱり間違いじゃないんだ!」と安心して、荷物を広げました。

 夕方、市内観光を終え、ホテルに戻って来ました。
 すぐに部屋着に着替え、順番にシャワーを浴びました。
 くつろごうとしていると、ブーンブーンと小さなハエが飛び交っています。
 部屋を暗くして、窓から出しても、また入って来るのです。
 ブラボー、結局4匹始末しました。

 ハエが全ていなくなったので、窓を閉めました。
 ところが、閉めてしまうと、ちょっと蒸し暑いのです。
 でもご心配なく。このホテルには「エアコン」が設置されているのです!

 しか~しっ!リモコンがありません。
 「フロントの兄ちゃんの後ろに、部屋番号の書かれた棚があって、そこにリモコンが置いてあった。兄ちゃんは、鍵と一緒にアレを渡さなければならないのを忘れたんだ!」とチェックを怠らない連れ(くるくる)が言いました。

 しかし、風呂も済ませた我々は、すでに「人に会う事は許されない姿」になっています。
 「じゃあ、私が服を着て、フロントまで取りに下りるわ。」と手を挙げる人が一人もいなかったので、再び窓を開ける事にしました。
 なに、熱帯雨林の部屋で過ごして来た事を思えば、こんなのどうって事ないわ。

 それから暫くして、荷物の整理などをしていたら、誰かがブラボー達の部屋のノブをガチャガチャと動かして、更にノックをして来ました!
 ギョッとしながら「どなたですか?」と言ってみました。
 ドアを開ける事は出来ません。何しろ「人に会う事は許されない姿」ですから。

 すると、年配の男性の声が「え~、う~、あ~・・・」と聞こえただけで、ガコガコと荷物を持って階段を降りて行く音がしました。
 「酔っぱらいが部屋を間違えたんだー!酔っぱらいだー!酔っぱらいだー!」と騒ぐ子供の様な連れ(くるくる)。
 それから暫くして、再びガコガコと音がして、ブラボー達の部屋をガチャガチャ。
 その行為は4回も繰り返され、やがて静かになりました。

 その理由は、翌朝分かりました。
 朝食のラウンジに行くと、年配の男性が3人組で朝食を取っていました。
 どうやら、彼らは別々にホテルに到着し、チェックインし、3つのベッドがある部屋に案内されたものの、すでにブラボー達が占拠していた、という事のようです。
 やはり、ブラボー達があの部屋を指定されたのは間違いだったのです。
 そして、それを知らない、夜のフロント係の男性は、131号室に案内してしまった。何しろ、131号室のリモコンセットは、棚に残されたままなのですから。
 全てはあの、秋葉系兄ちゃんのミスでしょう。引き継ぎ不足も含めて。
 荷物を持って、あの階段を何往復もするはめになったおじさん達、本当にお気の毒です。

 「部屋のドアガチャガチャ事件」が一段落して、ベッドに入ったものの、まだ眠るには早く、しかし話す事もなかったので、高尚にも「フランス語単語しりとり」を行っておりました。

 窓から、夜の冷たい風が吹き込むようになって来ました。
 「ああ、涼しくなったね。このままだと明け方寒くなるから、窓を閉めて、エアコン無しでも問題なし!」
と話していたその時!

 なんと、駅前周辺の「あの悪臭」が風に乗って、部屋の中に流れ込んで来たのです!
 4階だというのに・・・!
 慌てて窓を閉め、隠し持っていたマッチを数本擦って「リン」の力で部屋中の臭いを消して頂きました。
 全くもう。ハエがたくさん居るのも当然の事なのですね。

 翌朝は、上からくるくる、下にブラボーと、一つのスーツケースを二人で持って、一段一段、階段を降り、無事に地上にたどり着く事が出来ました。

 なんだか長い、一泊でした。

  部屋の窓です。外枠の上部がガタガタなのは建物のひさしです。
                    内部はキレイだけど、外壁などは、相当ボロボロと思われます。
  部屋の窓からの景色です。周りの建物もボロボロなのが分かります。

駅前のホテル ブリュッセル

2007年06月22日 | voyage(旅)
 ベルギーの首都ブリュッセルの南駅周辺の悪評は、ネットでも調べがついていました。
 南駅自体は、新しくて近代的なのです。しかし、いわゆる「再開発地区」なのでしょうね。古い建物が異様に古く、壊れかけたような物もたくさん有るし、そういうモノを解体して、新しい建物を建てる為に工事中だらけ。
 
 各国からの高速列車が乗り入れる、都会的な駅舎を一歩出ると「そこで生活を営んでおられる方達」が沢山いるのです。
 これはまた、「悪そーなヤツら」が沢山いる、というのとは違った雰囲気です。

 合理性を優先して、南駅周辺でホテルを取った事には、出発前は一抹の不安を抱いておりました。
 しかし、パリとアムスの駅前を流れて来た私たちには、もう恐れるものはありません。
 淀んだ目をした方達が、じ~っっと見つめる中、スタスタと通り過ぎます。

 不必要に広い歩道が続き、普通なら「開放的空間」と言えるのかもしれませんが、その広い空間にあって、
「ここはト○レですか」というような臭いが「充満」しているのです。

 ホテルは、その歩道が終わった真っ正面にありました。
 距離的には300メートルほどありますが、行き方はとてもシンプル。
 改装したて、というそのホテルは、そこだけが清潔な空間として浮かび上がっていました。ホッと一安心。

 中に入ると、カウンターがあり、そこに「推定年齢35歳」「頭頂部かなり危険」「あんた日本人だったら、
絶対にメイド喫茶で萌え萌えね」系の兄ちゃんが一人。

 予約表を出すと、もたもたしながら「じゃあ、部屋は131」と言って、カードキーを131に登録し、渡してくれました。
 12時半だったのですが、まだルームメーキングが出来ていないと言う事で「待つか?」と問われたので「どれくらい掛かる?」と問い返しました。
 兄ちゃんは、階段を駆け上がって、肩で息をしながら戻って来ると「15分」と答えました。
 
 結局、30分待たされて、遂に部屋へ行こうとした時、目の前に現れたのは、傾斜70度くらいあるんじゃないか、というような階段でした。滑り台やんっ!

 「エ、エレベーターは無いのですかぁ!?」と問う私たちに、兄ちゃんは「え、う、
ノン」と目をそらして答えました。131号室は、日本の4階でした。

 階段は幅も狭く、スーツケースを持った状態では、足下も見えず、本当に緊張感高まる状況でした。上りながら既に、「下りる時、私たちは一体どうなってしまうのかーっっっ!」と心配になってしまう感じです。
 旅は終盤。荷物は随分と重量を増していました。

 二人で順番に、相手が上がり切るのを待って(上から落ちて来られたら全滅なので、リスク分散です)、一階一階、
休みながら時間をかけて登りました。

 遂に山頂にたどり着いた私たちを待っていたのは、「モデルハウスの子供部屋」といった雰囲気の、可愛らしい部屋でした。

 ちなみに、このホテルは2つ星。
 「エレベーターの有無」。星の基準はやっぱりこんなところなんですよね。

 エレベーターがあって熱帯雨林の部屋と、壁の様な階段で可愛い部屋。
 あなたなら、どっち?