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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Feb_13】ファスビンダー『13回の新月のある年に』

2019-02-19 | BOOKS&MOVIES
ファスビンダー『13回の新月がある年に』(1978)。
In a Year with 13 Moons 1978 RW Fassbinder

37歳で燃え尽きた鬼才が、33歳の絶望の淵で作った作品。
主人公エルヴィラの孤独な心情が、映像と音で巧みに語られていて絶句。
切られた首が皮一枚でぶら下がり、足一本で連なる牛の場シーンや、
不動産王となったかつての恋人が、テニスウェアで部下たちとダンスに興じるシーンなど、
人間の深層が裏返ったような描写に、
世界と呼応した存在でありながらも孤絶したエルヴィラを浮き上がらせる。

さらに音響効果、特に夾雑音の使い方が驚き。
テレビからの音声や、針飛びするレコード、ゲーセンでパラシュート落下する人々の悲鳴など、
エルヴィラの心の声に世界が反応する。

そう、ファスビンダーは、ミクロマクロの連動を通して、
この世界が私たち個人の延長であるコトを伝えている。

世界は死してなお存続するのではなく、
エルヴィラが死ねば世界もそこでパチンと終焉するのだ。

絶望的な孤絶の只中でも、ふいごのように感応する世界が包んでいるコト、
『包み包まれ、包まれ包む』ごにょごにょした生命体の共生が、すなわちこの世界であると。

パートナーの自死という孤絶の中だからこそ、一条の救いを作品に込めたのだと思う。

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