「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

防災の第一目的は命を守ること。「あの人を助けなくては」との思いが行動の引き金となります。人の命を守るために最善の行動を!

〈危機の時代を生きる〉 愛媛大学防災情報研究センター 二神透副センター長に聞く コロナ禍における複合災害への備え

2020年09月14日 09時17分27秒 | 感染症パンデミック対策

尾崎洋二 コメント:阪神淡路大震災の時、災害関連死の方がインフルエンザ等が
引き金となり地震発生から3カ月以内で919名にもなりました。
 2016年の熊本地震においても災害関連死の方は222名で、災害直接死の方
50名を上回っています。
 コロナ禍の今、自然災害から助かったとしても、感染症等で亡くなってしまう、
災害関連死の発生を防ぐ避難の仕方も私たちの課題となりました。
 災害関連死の方を少なくする意味でも、「3密」を回避したボランティアの方々
の協力が欠かせないかと思います。避難所運営においては、事前研修を前提として
の協力体制づくりが必要かと思います。
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〈危機の時代を生きる〉 愛媛大学防災情報研究センター 二神透副センター長に聞く
コロナ禍における複合災害への備え


 ふたがみ・とおる 1962年、愛媛県生まれ。愛媛大学准教授。災害時の避難問題に関
する研究を続ける。災害・避難シミュレーターを開発し、学生防災士の育成にも尽力。
愛媛大学の公開講座や各地の防災士養成講座で講師を務める。
 
聖教新聞09月12日2020年 (聞き手=清家拓哉、酒井伸樹)


Q1――新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、本格的な台風シーズンを迎えた。
感染症と地震、豪雨などが重なる「複合災害」に、私たちはどう立ち向かっていけば
いいのか?

A1
2018年の西日本豪雨や昨年の台風19号、そして「令和2年7月豪雨」など、近年、
自然災害による被害が増えています。
近年の地球温暖化で、雨の降り方が変わってきています。

2014年(平成26年)8月の広島土砂災害以降、毎年のように豪雨災害が続いていますが、
これは雨雲が列をなすように次々と発生し、ほぼ同じ場所に流入して大雨をもたらす「線
状降水帯」の影響です。

局所的な大雨から土砂災害や浸水害が多発し、多くの命が失われました。
加えて、地震への備えも必要です。

日本は今、地震の活動期に入っており、いつどこで起きても不思議ではありません。
首都直下地震や南海トラフ地震の発生確率は、今後30年以内に70~80%といわれています。


自分の住む場所のリスクを知る


Q2――私たちには、どういう行動が必要でしょうか?

A2
豪雨災害に関しては、突発災害ではないということに注目すべきです。

気象情報を確認し、土砂災害警戒情報や河川水位情報に気を付ければ、行政の避難情報
が出る前に、早めに避難することができます。

そして、迅速な避難を徹底すれば、こうした被害で命を落とす人を限りなくゼロにする
ことができるのです。

地震においては、一人一人が大きな揺れへの備えを行うことが大切です。
1995年(同7年)の阪神・淡路大震災で亡くなった方は、8割が建物倒壊による圧死・窒
息死でした。

81年(昭和56年)5月以前の旧耐震基準の住宅の場合は早めに耐震診断を行い、倒壊を防
ぐために必要に応じた補強工事をすることが大事ですし、それ以外の家でも家具等が転倒
しないよう、防止策を取ることが命を守ることにつながります。

ただ、人は、いざという時になかなか避難できなかったり、耐震対策が大事と分かってい
ても行動を起こすことができません。
「正常性バイアス」といって、“私は大丈夫だろう”と脳が反応してしまうからです。

そうならないためにも、一人一人が自分の住む地域の災害リスクを知り、「正しく恐れる」
ことが重要です。

Q3――自治体がホームページなどで紹介しているハザードマップは、自分の住む地域の災
害リスクを知る手掛かりになると思います。

河川の氾濫による浸水想定区域や土砂災害の恐れのある地域、活断層の場所など、災害の
種類によって、さまざまな形で情報発信されていますので、この機会に確認することをお
勧めします。

そうした情報をもとに、日頃から“災害が起きたらどう行動するか”“どんな備えが必要
か”など、家族や地域の人と話し合っておくことが大切です。

よく災害では、「想定外」との言葉を耳にしますが、普段から考えていれば、想定外では
なくなります。

また私たちのセンターでは、火災延焼シミュレーションのソフトを配信しています。
これに国土地理院の地図データを取り入れて変換すれば、全国どの地域でも、大規模災害
時に自宅周辺で火災が起こった場合の延焼の広がりを予測し、どこに避難するのが最善な
のかを具体的に考えることができます。

Q4――最近は新型コロナウイルスの感染拡大で、「避難所に行く」といっても難しい状況
がありますね。

A4
私は先日、感染が広がる中で「令和2年7月豪雨」の被害を受けた熊本県を視察しましたが、
多くの課題を目の当たりにしました。

その一つがボランティアの不足です。
熊本では感染を防ぐため、ボランティアを県内や市町村内の人に限定しました。
そのために人手不足が指摘されました。

4年前の熊本地震では、270人を超える死者に対して200人以上の災害関連死が確認されました。
もし感染症拡大の中で大地震が起き、ボランティアを介して避難所でクラスターが発生すれば、
助かるはずの命をつなぐことができない可能性もあります。

一方、避難所でボランティア活動が制限されれば、災害関連死の増加が危惧される状況もある。

コロナ禍での自然災害という「複合災害」にあっては、感染リスクを抑えるために「3密」の
状況を回避しつつ、限られた人手で、いかに避難者をこまやかに支援できるかという、難しい
かじ取りが求められることが分かりました。

まずは避難所の「3密」を避けるためにも、親戚や知人宅、車中泊等、避難所に行かない分散
避難を平時から考えておくことが大事ですし、地震であれば、建物の耐震性を高めることで自
宅での避難も可能となるので、そうした対策をしっかり行っていくことの大切さを改めて感じ
ます。


消毒液やマスク等 持ち出し袋も変化



Q5――「災害弱者」といわれる高齢者や障がい者、その家族は、どのような点に心掛けるべき
でしょうか?

A5
ご高齢の方や障がいのある方であっても、まずは自宅や周辺の災害リスクを認識し、確認する
ことが大切です。

水害・土砂災害が想定されている地域や津波浸水エリアでは、早めの避難行動を徹底すること
が命を守ることにつながります。

同居家族が不在の時間があるような場合は、災害時に地域の自主防災組織や近所の方に配慮し
てもらえるよう、あらかじめ相談しておくことも必要でしょう。

また高齢者や基礎疾患のある方は、新型コロナウイルスによる重症化率も高いので、避難所で
感染しないよう、非常持ち出し袋に消毒液やマスク、体温計を常備しておくことも重要です。

山あいの地域では、土砂崩れで孤立する恐れもあります。

普段から薬を服用している方は、地域の孤立に備えて、医師との相談の上で1週間分の余裕を
もって薬を処方してもらうといったことも考えられます。


まずは自助 その上で共助



Q6――災害への対策にあっては、まさに「自助」が大切ですね。

A6
まずは、自分の命は自分で守る。この「自助」が、何よりも大切です。
自分の命を守れれば、周囲の人々の命を救うために動くこともできます。

大きな災害では、消防・警察・自衛隊といった公の助け(公助)は、どうしても遅れがちにな
ります。

だからこそ「自助」を第一に考え、その上で人々が互いに助け合い、命をつなぐ「共助」が大
切になります。

「共助」は地域の防災力ともいえますが、この力を育むためにも、平時から地域ごとに訓練を
行い、地域の防災計画を作っていくことが重要です。

しかし、この防災計画についても、コロナ禍を受け、変化が求められています。

例えば、働き方が見直され、普段は会社にいる人でも自宅で作業することが多くなりました。
そうした人々を、どこで受け入れるかといったことや、地域の人々がなかなか集まれないことで、
新たな事態に備えての防災計画の策定や防災訓練を行うことを難しくさせている現状もあります。

「災害の世紀」に入ったといわれ、自然災害が当たり前になりつつある今、地域のつながりをど
のように強めるのかということに、ますます目を向けていかなければなりません。

そうした中にあって、一人一人が“地域のために何ができるのか”と主体的に考えていくことが
求められています。

コロナ禍による厳しい制約下にありますが、オンラインなどで一人一人がつながり、知恵を出し
合うことで、さまざまな問題も必ず解決の糸口を見つけていけると思います。


「大切な人を守りたい」との心が地域の防災力高める


Q7――主体的に行動する心は、どうすれば育んでいけるのでしょうか?

A7
一人一人が大切にしている人のことを思い浮かべ、“どうすれば、自分の力でその人の命を守れ
るか”と考えることだと感じます。

愛媛大学では、環境防災学という講義を開講し、防災士の資格取得を希望する学生を、他大学の
学生も含めて受け入れています。

これまで1000人近い学生が受講しましたが、その学生を対象に毎年、アンケート調査を実施し、
心理的特徴を分析してきました。
その結果、一般学生と比べて「災害から家族や地域を守りたい」という意識、つまり「利他的意識」
が強いことが分かったのです。

いきなり“地域のために行動する”といっても難しいかもしれませんが、身近な人を守るためなら、
具体的に思い浮かべることもできますし、周囲の人を守ろうと思うと、想像以上の力が出るものです。


求められる「利他的意識」


Q8――高齢化が進む日本にあって、若い人たちが防災意識を高めることは特に大切ですね。

A8
各地には今、高齢化が深刻になっている自主防災組織も多くあります。

これは愛媛大学で防災士の資格を取った学生たちを見ていて思うことですが、若い人たちが地域に入
ることで、防災活動が活性化するだけでなく、地域自体も元気になってきていると感じます。

創価学会の皆さんは、災害時に青年部が中心となって「かたし隊」などを結成し、地域に根差したボ
ランティア運動を展開していると聞きましたが、こうした活動は、地域にも若々しい息吹を与えてい
ると思います。

また学会の四国青年部はこれまで、「震災意識調査アンケート」を実施し、同世代の若者に防災意識
の向上を訴えてきたことも知っています。
高い意識をもって活動していることを実感します。

ともあれ、こうした「利他的意識」が、若者はもちろん、一人でも多くの人に広がっていくことが、
これからの複合災害に立ち向かっていく上で、ますます求められていくのではないかと思います。

https://www.seikyoonline.com/article/B7E967F9C5DF5F7AADF806D7FD41E2AA



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