【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =010=

2018-03-30 06:10:00 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

青春を深海に掛けて=高井研=

 第一話 実録! 有人潜水艇による深海熱水調査の真実  

◇◆ その一 2009年10月27日 AM6:30 インド洋上 =2/3= ◆◇ 

第1話ではまず名刺がわりに、私が「JAMSTECで働いている幸せ」を忘れた頃に思い出させてくれる海洋調査のワンシーン、それも有人潜水艇しんかい6500での深海熱水への調査を紹介してみたいと思います。

さあ、みなさんも今、360°澄みきった藍色の海がひろがる、南半球の初夏の太陽が照りつける光り輝くインド洋上、深海調査船「よこすか」に乗船している…、そんな状況を想像してみて下さい。一応、2009年の10月27日のしんかい6500の潜航調査を偽りなく再現してみましょう。

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朝6時半、緊張感とともに目覚める。今日は、ボクのしんかい6500の潜航日だ。しかも、この航海で残された最後の潜航のチャンス。しんかい6500には、パイロットとコパイロット、そして研究者の3人しか乗れないので、組み合わせが決まれば、3人でじっくり潜航計画の打ち合わせをする。

昨夜8時頃、ボクは今日のパイロット・ヤナギタニさんとコパイロット・イイジマさんと普段よりも綿密な打ち合わせをした。今日は、潜航できればインド洋の第4番目の熱水の発見と直結するめちゃくちゃ大事な日だ。

朝7時、キャビンのあるフロアから2階上のブリッジに行く。潜航日は、この「よこすか」のブリッジでキャプテンとしんかい6500司令が、海況を見ながら潜航するかしないかを判断するのだ。

「おはようございまーす」というあいさつとともに、場の雰囲気を探る。潜航できる日の朝は明るい返事が返ってくるが、ダメなときは返事の声色でわかってしまう。うーむ、今日はまずいみたい。そう言うときは場を明るくするため「ボクチン潜りたいニャー♡」とか言ってみると、事態が好転するときもあるが、急転直下、悪化することも多いので注意が必要だ。特に今回のキャプテン・おとこリョーノさんは和歌山太地(クジラ漁で有名な)の出身の強面船乗りだし、司令サクライさんは極真空手黒帯だし…、カワイコブリッ子はたまにしか…通用しない。

「うーん、まずいね。タカイさん。いまは判断できないわ。もうちょっと待ちましょう」。スゴスゴ。去り際に「今日潜れると、見つかった熱水に‘しんかい’フィールドっていう名前をつけようと思ってるんですよねー。ああ、‘しんかいフィールド’って有名になるでしょうねぇー。まちがいなく!いやはや」と言ってみる。

案の定、朝8時を過ぎても潜航決定の断は下されなかった。普通ならば、朝8時過ぎに、「よこすか」の司厨(船の食事を準備する厨房)から、しんかい6500オペレーションチーム部屋に「今日のお弁当デース」といってサンドイッチセット3人前が届けられる。そして、それを見ながら、パイロットとコパイロットと本日の潜航研究者が、潜航調査の確認作業を行うのだ。そして、その途中、船内放送で「スイマー、スタンバイ!スイマー、スタンバイ!」のアナウンスがかかる。これで、100%潜航調査が行われることが確定する。普通ならば…。今日はそのサンドイッチ定食が届かない。

=補講・資料= 

高井研・深海で生命の起源を探る(2/9)

──地球の生命圏の境界はどのような環境ですか?

 僕の研究によって、122℃の高温、pH12.4の強アルカリ性の環境で生命が生きることを確認しています。これが今の世界記録です。超高温で生きる生命は、インド洋の「かいれいフィールド」と呼ばれる熱水噴出域から。強アルカリ性については、マリアナ海溝からマリアナ諸島に続く海底火山の一つ、南チャモロ海山海底下から採取したサンプルで見つけました。

 今年の夏(6~7月)に行われる、有人潜水調査船「しんかい6500」による世界一周航海「QUELLE(クヴェレ)2013」では、カリブ海の英領ケイマン諸島周辺を調査します。カリブ海には世界で一番深い熱水域があります。5,000mを越える水深で、400℃の熱水。しかも、その熱水の水素濃度は20mM以上で世界最高記録です。そこで新しい生命を発見すれば、地球生命の限界はさらに拡がります。2013年6月22日(第一候補日。状況によってはスケジュールが変更する可能性は大いにありますが。)にはカリブ海からインターネット中継をして、リアル「しんかい6500」潜航調査を皆さんにご覧いただく予定です。日本中が震撼する大発見をお伝えできるかもしれません。楽しみにしていてください!

──それは楽しみですね! 熱水の近くに生き物がいるのですか?

 海底で噴出する熱水の周りにできる煙突状の構造物を、深海熱水噴出孔(チムニー)といいます。温泉の温度は高くても120℃くらいですが、水深2,500mの深海になると、水圧がかかって350℃くらいの熱水が噴き出しています。そのようなところには超好熱菌をはじめとする極限環境微生物が生息していて、1gのチムニーの中に2万種類の微生物がいるんです。

──2万種類も!そんな極限環境下でどうやって生きているのでしょうか。

  チムニーの熱水からはエネルギーが噴き出ていて、生命はそのエネルギーを食べて生きています。熱水がエネルギーとなる物質を海底に運び、それを微生物が有機物に変換します。その微生物のおかげで栄養が豊富だからこそ、太陽の光も当たらない深海で生物がたくさん生息できるのです。熱水のエネルギーは、地球内部のエネルギーが支えています。そして、この超好熱菌は地球上最古の生命と考えられています。この深海の熱水こそが地球生命の起源かもしれないのです。

  深海の世界は真っ暗ですが、赤外線カメラで見ると、熱水が噴いているところが光っています。その光の周りに、地上のものとは似ても似つかない形をした生物がワサワサと生きているのです。その光景を見ると「生命の奥深さや力強さ」を感じます。これこそが、我々が解明しようとしていることです。

・・・・つづく・・・

https://youtu.be/cnPVa3t2tls

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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