【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =077=

2018-08-19 06:10:02 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

 第5話  地球微生物学よこんにちは 

◇◆  一子相伝の秘奥義「バクテリア・アーキア一本釣り法」 =2/2=  ◆◇

とうとう初デート♥での相性チェックに相成った、というのが今回の研究室訪問までの成り行き。 しかし、なんせ相手は変人カール・シュテッター。二人きりで会うのはさすがにボクもドキドキしていた。本来なら学会で会ってそれなりに打ち解けた後で訪ねる予定だったのに、カール・シュテッターの突然の学会参加キャンセルにより、ボク等は直接レーゲンスブルクで落ち合う事になってしまったのだ。

レーゲンスブルクのホテルに着いたボクは、週末だったので大学ではなく知らされていたカール・シュテッターの自宅に、恐る恐る電話した。もし本人以外の家族が出て英語が通じなかったら、必殺のカタコトドイツ語を披露するしか手だてはなかった。「イッヒ・ビン・ケンタカイ」ぐらいしかしゃべれなかったが。

電話に出たのはとてもキレイな英語を話す若い女の子だった。カール・シュテッターの娘さんだった。電話越しに「パパに代わるね、パパァー! ケンから電話よー!」と言われた時、「パパ? あのカール・シュテッターがパパなのか?」とひどく混乱したけれども、どうやら家では思いのほかまともな人間らしいとわかって安心したのを覚えている。

そして、あのカール・シュテッターが週末のあいだボクにみっちり付き合って、大学やら街やらをとても親切に案内してくれたんだ。

あまりの親切ぶりにボクはびっくりしてしまった。そして、「どうしてアナタはボクのような日本の名もなき若者にそんなに親切にしてくれるのですか?」と尋ねた時、カール・シュテッターはボクをマジマジと見て言ったんだ。

「ケン、オレはオマエが好きだー!」

キタァー! マジ? またアッチ方面の話?
一瞬ボクは超前進守備隊形を敷いた。

しかしよく聞くとソッチ系の話ではなかった。

カール・シュテッターは若い頃、その好戦的な性格で喧嘩ばかりしていてドイツでは完全に干されていた時代があったらしい(今もだろ!というツッコミはできるわけがなかった)。

そのときに、アメリカのウッズホール海洋研究所の超大物微生物学者だったホールジャー・ヤナシュにとても世話になったらしい。外国の血気盛んな若者だった自分を大物研究者が励ましてくれた事がとても嬉しかったと。だから「オレもそのお返しを今、若いオマエにしているのさ」

ボクは凄く嬉しかった。まるでホールジャー・ヤナシュからカール・シュテッターに渡されたバトンが、ボクに渡されたような気がしたんだ。

もちろん、それは単なるボクの思い上がりに過ぎないことはよくわかっている。でも国境を、そして世代を超えて同じような高みを目指す「志を共有した研究者」に代々受け継がれていく、何かスピリッツやソウルのようなモノ、があるのは間違いないと思う。そのスゴーく大事なナニかをカール・シュテッターから受け取ったような気がしたんだ。

にもかかわらず、そんな大事なナニかをボクに授けてくれたカール・シュテッターはその後、ゲフゲフといたずらな笑みを浮かべて、彼のご自慢の愛車の一つである「いかついBMWのコンバーティブル」の助手席にボクを監禁拉致した。

行き先はドイツ名物である速度無制限のアウトバーン。そして彼はボクにオーバー300km/hの世界をオープンカーで堪能するという未曾有の恐怖もしっかり授けてくれたんだ。

でもそんな想いや愉快な思い出とは裏腹に、その後ボクがカール・シュテッターの研究室で武者修行する事はなかった・・・。

超深海をめざす「しんかい12000」 (7/8)

―ちなみにもし「しんかい12000」を建造した場合、予算規模はどのくらいですか?

磯崎: 学術会議の検討では、トータルでざっと約500億円と想定しています。300億円が「しんかい12000」で、200億円が母船です。ちなみに「しんかい6500」は125億円、支援母船よこすかが75億円。トータルで200億円です。

―日本の国際宇宙ステーションに対する年間予算が300数十億円ですから、それと比較すると2年分弱ですね

磯崎: そうですね。私たちも費用対効果の意識をもって、6Kと比べて長い時間、多くの目で見れば新しいものを発見するチャンスが増えると伝えていきたいと思っています。

技術的課題はガラス球

―技術的な課題として、気になるのはフルビジョンのガラス球ですが

磯崎: ガラスは非常に強い材料です。東京タワーの展望台の床にガラスがありますよね。あそこは誰も立ち入りを制限していません。飛び跳ねても大丈夫なのです。上海のテレビ塔の床にはガラスがいっぱい広がっています。本当はガラスは強いのです。何が問題かといえば、強いけれどパリンと一瞬で割れること。鉄は粘りがあるのですけどね。

―東京の町工場が作った「江戸っ子一号」はガラスを使って水深7800mまで潜りましたね

磯崎: そうですね。ただ「江戸っ子1号」は無人の探査機です。「しんかい12000」は人が乗りますから、万が一にも割れてはいけない。ガラスには高級時計のサファイアガラスなどいろいろな種類があります。きれいに磨けば強いのですが、傷があると弱くてパリッといってしまう。製造するときの傷がなく、磨いて表面の凹凸がないガラスがあれば、強いと思っています。

世界では1000mぐらい潜れるアクリル製の潜水船があります。ダイオウイカのテレビ番組の撮影用に使われていた潜水船です。周囲が見えるのでレジャー用で使われていますね。JAMSTECの研究者も乗ったことがあって、「買ってくれ」と言われていますよ(笑)。

―アクリルではダメなのですか?

磯崎: 無理ですね。水深1万mで強度を確保しようとすると、とてつもなく厚いものになってしまうのです。

―水深12000メートルの水圧はどのくらいになりますか?

磯崎: 指の先に1.2トン、小型乗用車一台が乗るぐらいの圧力がかかります。でも見込みとしてはガラス球で行けると思っています。アメリカのガラス会社がガラスを作る装置、磨く装置を一生懸命作っています。

-アメリカで作るのですか?

磯崎: できれば日本でやりたい。ガラスだっていろいろなものがあるはずです。これから出てくるかもしれないし、現状はこうだからではなく、貪欲に探していきたい。次に起こる技術開発は何か、研究者だけでなく、技術者もこれから起こることにアンテナを高くして、嗅覚を研ぎ澄まし、「五感+アルファ」で探しにいきます。

―今一番の課題はなんですか?

磯崎: やはりガラス球です。トップに来るのは安全性。人が乗りますから。研究者がその場にいる感覚を得ることと安全性とのバランスをどうとるか。最初からあきらめるわけにはいかない。狙うのはあくまでフルビジョン、フルデプス。そこに挑戦する。でも安全性は譲れない。「ちょっと危ないけど、まぁいいや」は絶対にない。最後は石橋を叩いて渡ります。

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 巨大地震発生メカニズムを調査!  

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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