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ささやく河

  ささやく河  (彫師伊之助捕り物覚え)  藤沢周平著

先日紹介した宮部みゆきが尊敬する作家ということで読んでみた。

江戸の街を舞台とする捕り物帖です。物語自体はまあまあといったところだが、
主人公の設定がおもしろい。普通、捕り物といえば<遠山の金さん>的なお奉行様とか、<銭形平次>的な岡っ引きとかが普通だけど、この小説の主人公は岡っ引きが便利につかう<下っ引き>と呼ばれる一般人だ。
つまり、警察手帳を持たないただの人が聞き込みしたりするんだけど、
当然、代紋の威力がないので相手にナメられる 捜査ははかどらない。

岡っ引きは たくさん事件をかかえているので手がまわらない。
歳をとって歩くのが辛いから。人員を増やすほどお上に予算がない。
という理由でこうした民間人を使っているんだけど、
ドラマのようにカッコつけてなく、リアリティがあっておもしろい。


巻末を開いてみると、発刊されたのは20年以上前だった。
今のネットの時代、新しい情報が次から次へと流れては消えていく中で
紙の媒体ってすごいね。
燃えなければ半永久的に残るんだもの。
すみっこが茶色にくすんだ紙を1ページずつめくっていくのが
ぼくは好きだ。


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