安達太良山(あだたらやま) 姥神(うばがみ)
【データ】安達太良山 1700メートル▼25000地図 安達太良山▼最寄駅 JR東北本線・二本松駅▼登山口 福島県二本松市岳温泉のあだたら高原スキー場▼石仏 スキー場と勢至平の中間、湯樋道の側
【案内】姥神の多くは川を渡った先にある。これは地獄の三途の川の奪衣婆(だつえば)と同じ座所である。奪衣婆は川を渡ってきた亡者の着物を脱ぎとる鬼婆。これを渡された懸衣翁(けんえおう)が衣領樹(えりょうじゅ)にかける。そのときの枝のたわみ具合で天国か地獄か、亡者の行き先が決まるという。枝がたわむほ ど生前の罪が重く、地獄行きとなる。この奪衣婆は越中の立山で女性を救済する姥神となる。これが出羽三山に吸収されて豊満な姥神になり、東北南部から北関東の山に広まった(石仏34薬莱山参照)。しかし姥神が必ず川の側にあるとは限らず、安達太良山の姥神は山の中腹にある。吾妻山の姥神も山の中腹に座す=写真下=。これらは結界の場所を示しているに違いない。東北の山には、姥石という結界を示す場所もある。
【独り言】6月の安達太良山は根曲がり竹の筍の季節です。根曲がり竹は雪国の山に自生するチシマササで、安達太良山でも中腹に群生しています。筍は素人でも簡単に取れます。傾斜のゆるやかな太い竹が密集する窪地を探すのが、いい筍を採るコツです。しかし、筍採りに夢中になって道に迷ったり、熊に出合ったりしないよう、登山道から深入りしないのが肝心です。それでも、密集した笹 藪のかなを歩き回りますから、手足は泥だらけ。ひっかきキズは当たり前です。山で藪こぎの経験のない方にはおすすめできません。食べ方は簡単で、あくぬきの必要もなく、煮ても炒めても天ぷらでも美味です。ただし、一本ずつ皮をむく作業があります。ここまで紹介して水を差すようですが、国立公園内では草木・岩などの持ち出しは一切禁止されていることも付け加えておきます。