偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏808霧藻ヶ峰(埼玉)地蔵菩薩、十三仏

2018年08月17日 | 登山

霧藻ヶ峰(きりもがみね) 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)、十三仏(じゅうさんぶつ)

【データ】 霧藻ヶ峰 1523メートル▼最寄駅 秩父鉄道・三峰口駅▼登山口 埼玉県秩父市大滝の大日向▼石仏 霧藻ヶ峰北の地蔵峠、地図の赤丸印。青丸は十三仏。黒丸は霧藻ヶ峰登山口▼地図は国土地理院ホームページより
【案内】 大血川の大日向から三峰神社へ通じる林道の途中から霧藻ヶ峰へ登った。東屋がある登山口に駐車場はないが、道脇に車10台は停められる。この場所からは従来の半分の時間で霧藻ヶ峰に達する。しばらくは杉林の急登が続き、山腹を巻く道になると霧藻ヶ峰の北にある地蔵峠に出る。
 峠の木祠内に地蔵菩薩が祀られている。合掌の地蔵立像は「天保十三寅年(1842)」の造立で、「左大□向山」とあって道標も兼ねている。大□向山は林道の途中にある大日向山大陽寺を指すのであろう。「願主平蔵」銘もあるが、平蔵の素性はわからない。
 単独で立つ地蔵の姿は右手錫杖左手宝珠が多く、次にこの合掌する像容が多い。台座から左足を踏み下げる延命地蔵は寺院の境内に若干見られる。六地蔵の中には数珠・柄香炉・幡・天蓋を持つ地蔵もあり、子供を抱く子安地蔵も含め持物が多様なのが地蔵菩薩である。
 地蔵の後ろに「大正十一年一月大滝村分會青年団建設」の道標「右ハ雲採山ヲ超北都留郡西多摩郡ニ至ル 左ハ大日向山旧道 後ハ三峰神社ニ至ル」が立つ。三峰山からの道の妙法ヶ岳分岐と同じ道標である。



 【独り言】 十三仏 大日向から霧藻ヶ峰の道の途中に大日向大陽寺があります。車で寺の入口まで入れる今、その参道を歩く人はほとんどないようですが、十三仏が置かれた登りやすい道が続きます。十三仏はいずれも唐破風付きの笠付塔で、基礎は四角の台座に敷茄子と蓮華座を重ねた丁寧な作りです。本尊は、塔身中央に光背を彫り窪めた中に仏を浮き彫らせ、それも肉厚で美しい像容です。
 不動明王からはじまる十三仏は、初七日から三十三年の死者の追善供養の各年忌に配された13の仏菩薩で、この寺が死後の世界に重点を置いていた寺であることは、境内にある閻魔堂からも感じられます。
 十三仏の石仏が山にも点々と置かれているところがあって、このブログでも長野の高妻山高社山虫倉山、神奈川の大磯鷹取山、山形の高畠観音岩などで案内してきました。
 大陽寺=上写真=は鎌倉時代の後期に仏国国師(1241~1316)が開いた臨済宗の寺だそうです。仏国国師(高峰顕日)は関東に深い縁がある僧で、簡単に紹介しますと、後嵯峨天皇の皇子といわれ、京都・東福寺で出家、鎌倉・建長寺で修行後下野那須に雲巌寺を開き、この寺と鎌倉を中心に活動し、夢窓疎石はじめ多くの弟子を育てました。それからこのブログの萬蔵山(栃木県)では、観音堂を開いた僧として仏国国師にちょっと触れました。萬蔵山は下野那須の雲巌寺から山一つ越えたところにある山です。下の写真は雲巌寺です。



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