いわき市四倉小湊のがらんば(伽藍場)
いわき市の北西部、仁井田川沿いの寺社を訪ねました。
四倉小湊の川岸建つ御堂が〝がらんば〟。がらんばはこの御堂を管理する老女に教えていただいた名称。老女が言うがらんばを伽藍場の字をあてての話ですが、伽藍場は僧が住んだところのです。東北地方の南部では火葬場や墓地を〝らんば〟と呼ぶところがありました。私の田舎の福島県田村市でもらんばと呼んでいました。
老女の話で、昔がらんばは馬の死体を埋めた場所で林になっていたそうです。そこを老女の叔母が整備してお堂を建て、散らばっていた馬頭観音もまとめたそうです。そのほとんどは馬頭の文字塔で、中には大正の年号があり多くは近代になってからの造立と思われます。
お堂の本尊は平成になって盗難にあい、現在は石造地蔵菩薩が鎮座。これを老女はがらんば地蔵と呼んでいました。お堂の前で盆踊りもしたと、これも老女話ですが、今では目の前にあるお堂まで行く体力が無くなったと話していました。
路傍や寺近くに石造物がまとめてあると、道路工事などで邪魔になったので移動された石仏と決めてしまうことが多いのですが、今回は意外な石仏の背景を聞いて先入観や経験が役に立たない例のあることを知りました。
(地図は国土地理院ホームページより