偏平足

里山の石神・石仏探訪

里山の石神端書159 坂東札所石仏(神奈川県厚木市)

2023年02月03日 | 里山石神端書

神奈川県厚木市飯山・飯山観音の坂東札所石仏

 飯山観音は坂東札所第六番です。坂東札所の成立には諸説あり、鎌倉時代成立説が有力です。その根拠の一つは札所の多くが鎌倉幕府の御家人の領地にあるということ。この六番飯山観音は、安達義景が堂宇を建立した寺です。第九番埼玉の慈光寺は、頼朝が奥州藤原氏追悼の戦勝祈願をした寺。県内に二か所しかない群馬の第15番白岩観音と16番水沢観音も、御家人になった里見氏の領地でした。里見は鎌倉の動きを静観していた新田氏の一族でしたが、頼朝と親しくしていたことが坂東札所に選ばれたと推測しています。


 飯山観音の境内に坂東札所各寺院の本尊石仏を巡るコースがあります。置かれた石仏は新しいもので、簡単な像容の観音が並んでいます。千手観音の持物がない手が奇妙で、十一面観音の頭部の面が雑に彫られている観音です。これらの石仏も歳を重ね、風化が進み、鑿の角が取れれば穏やかになるはずです。



 それにしても最近の石仏造立は六地蔵と三十三観音がほとんどで、近世・近代の庶民信仰の中心だった庚申塔や道祖神、富士・三峰などの山岳信仰石塔は建てられなくなりました。信仰の組織そのものが存続していないようです。
(地図は国土地理院ホームページより)


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