山小屋は土台造りから始めました。場所が雑木林を伐採した傾斜地でしたから、谷側には鉄骨を支柱にしたコンクリート製の土台を立てました。土台の枠はオイル缶を並べたもの。このアイディアの考案者は、この土地を提供してくれた地元のWさん。山小屋はこのWさんの主導というよりWさんが一人で造ってしまった、という感じで進みました。
小屋造りの作業で知ったことですが、農家には農作物を作る道具のほかに、いろいろな機材が揃っているということでした。立ち木を切るチエンソー、鉄骨を切る電動丸ノコ、足場を造る鉄パイプ、脚立や梯子などなど……。そしてこれらの機材を運ぶ軽トラックです。そしてこの機材を上手く使いこなすのがWさんで、農家の人はだれでも使いこなすそうですが、とくにWさんは上手でした。百姓の語源ではありませんが、「百の仕事をするぐらい農家にはいろいろな作業がある」ということを聞いたことがあります。百姓のWさんの奮闘で山小屋造りは進みました。